最新記事

ウクライナ

ウクライナの航空戦力増強にはパイロットごと米軍機を「リース」する手がある──元米空軍大佐 

Ex-Colonel Outlines How Ukraine Can 'Lease' an Air Force From U.S.

2023年1月19日(木)13時46分
ニック・レイノルズ

勝利を意味する「Z」の字の編隊を組んでモスクワ上空を飛ぶロシアのミグ29(2022年5月7日) Maxim Shemetov-REUTERS

<防空に苦戦しているウクライナに対して、元米空軍大佐が軍需企業を通じた米軍機のリースを提案。米議会でも検討が始まっているという>

ロシアとの戦争で航空優勢の確保に苦しむウクライナに対し、米政府から民間軍事会社の航空部隊を「リース」する方法があると、米軍の元空軍大佐が明らかにした。

元米空軍大佐で在コソボ米大使館の国防担当官を務めたこともあるジェフリー・フィッシャーは、キーウ・ポスト紙への寄稿で、ウクライナ国防省に対し、装備の整ったロシア空軍に対抗できる軍用機を手に入れるために、米国防総省の最近のプログラム利用を提言した。

特に2019年のプログラムを利用すれば、ウクライナ政府は敵の攻撃をシミュレートする民間のアグレッサー飛行隊を訓練に利用することができるという。これら少数の民間軍事企業は、パイロットを訓練するだけでなく、戦闘機も所有している。

前例のないことだが、このルートを利用することで、ウクライナ軍はアメリカの軍用機をリースし、高度に洗練された機器を使いこなすために必要な訓練時間も短縮することができる、とフィッシャーは主張する。

リースは魅力的な選択肢

民間企業からのリースなら、対応可能な金額で優秀な乗組員を提供してくれる可能性も高い、とフィッシャーは書いている。

アメリカ政府の全面的な同意が必要だが、現在の戦況に鑑みれば、現実的なオプションになりうる、と彼は言う。

フィッシャーによれば、米議会ではすでに、水面下でこの構想を持ち出す動きもある。米政府は、ボーイングやロッキード・マーチンのような軍需企業が軍装備品の輸出許可を求めた場合、外交あるいは物流に関わる様々な懸念から拒否することがあるが、航空部隊を「リースする」という提案は、「米政界の多くの人間にとって魅力的な選択肢になる可能性が高い」という。

「この方法で、ウクライナ軍は領空内に侵入したロシア軍機と対決するための高速で、よく訓練された、費用対効果の高い空軍が編成できる」と、フィッシャーは書いた。「さらに重要なのは、このやり方なら、米軍はウクライナの戦争と『ある程度の距離』をとることができ、アメリカが直接、ロシアとの戦争に参加するのを避けられることだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中