最新記事

英王室

「メーガンは正しかった」──英王室幹部が黒人差別で辞任

Meghan Markle 'Vindicated' After William's Godmother Resigns Over 'Racism'

2022年12月1日(木)18時42分
アナ・スキナー

エリザベス女王の葬儀後のメーガン。黒人差別で辞任した宮殿幹部は女王の長年の側近だった(9月19日) Tom Jenkins/REUTERS

<バッキンガム宮殿に招待された黒人ゲストを差別して辞職に追い込まれた宮殿の古株が、エリザベス女王の長年の側近だったことで、王室にはメーガンが言っていた通り組織的差別が存在していたことが証明された>

11月29日にバッキンガム宮殿で開かれたレセプションで、招待客の1人、ンゴジ・フラニが、故エリザベス女王の側近を長年務め、引き続き王室の要職に就いていたスーザン・ハッシーに人種差別的な言葉を浴びせられたとツイッターで告発。ハッシーは翌日辞任する事態となった。

【画像】フラニとフラニの告発ツイート

この一件を受け、ツイッター上では「これで英王室の差別体質が証明された」、「メーガン妃の告発は真実だった」といった声が飛び交っている。

ヘンリー王子の妻でアフリカ系の母を持つメーガンは昨年3月、アメリカのTV番組に出演し、王室内で人種差別にあったと語った。これに対しては「よくぞ言った!」とメーガンの告発を支持する声が上がる一方で、彼女の発言を疑い、王室メンバーとしてのヘンリー王子夫妻の自覚のなさを批判する向きも多かった。

夫妻が王室を離脱した後も、王室職員の差別的人事を示唆する文書が見つかるなど、英王室の人種差別疑惑はロイヤルファミリーに対する庶民の不満の一部としてくすぶり続けていた。そこに油を注いだのが今回の一件だ。

「イギリス生まれのイギリス人」に納得せず

フラニはアフリカとカリブ諸島にルーツを持つ女性たちの支援団体「シスター・スペース」の創設者でCEO。DV被害者の救済活動でも知られ、カミラ王妃が国連の「ジェンダーに基づく暴力に反対するキャンペーン」を支援するために開催したレセプションに招かれた。

その会場で、フラニに近づき声を掛けたのがハッシーだ。ハッシーは「あなたはどこから来たのか」とフラニを執拗に問い詰めたという。

フラニがツイッターに投稿したやりとりによれば、フラニは最初、所属を聞かれたと思い、シスター・スペースだと答えた。「そうじゃなくて、どこから来たかと聞いているのよ」と言われ、シスター・スペースの本部があるロンドン東部のハックニーだと答えると、ハッシーは「アフリカのどこから来たのか聞いているの」と詰め寄ったという。

【動画】「あなた本当はどこから来たの」と、イギリス人のフラニに詰問するハッシーとの会話をBBCが再現

フラニは、自分はイギリス生まれのイギリス人だときっぱり答えたが、ハッシーはそれで満足せず、ルーツはアフリカ系とカリブ系だと言わせるまで、何度も同じ質問を繰り返したという。ちなみに、ハッシーはウィリアム皇太子のゴッドマザーでもある。キリスト教の伝統宗派で子供の信仰上の母親の役割をする重要な役目だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦力増強を指示 戦術誘導弾の実

ビジネス

アングル:中国の住宅買い換えキャンペーン、中古物件
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中