最新記事

ロシア

ロシア軍の兵舎の様子は「イカゲーム」そっくりの悲惨さ...ウクライナが動画で嘲笑

Ukraine Mocks Russia's 'Squid Game'-like Soldiers' Quarters

2022年10月1日(土)13時11分
ダニエル・オング
ロシア部分動員

ロシア南西部ヴォルシスキーで動員された予備兵たち(9月28日) REUTERS/Stringer/File Photo

<ロシアでは30万人が新たに動員されることになったが、彼らがまず向かうことになる宿泊施設は、まるでドラマ『イカゲーム』のような過酷な状況>

ウクライナに侵攻するロシア軍については、兵士たちが寝泊まりする兵舎の環境の悪さがたびたび指摘されてきた。プーチン政権は30万人を新たに招集する部分的な動員令を発動したが、その状況下で9月29日に兵舎内部の様子を撮影した新たな動画が公開され、その過酷な状況が注目を集めている。

■【動画】ロシアには「イカゲーム」が実在!? 兵舎の過酷な状況を映した動画

動画を公開したのは、ロシアを相手に国土を守る闘いを続けるウクライナの国防省。動画には、広大な空間にベッドがぎっしりと並べられた様子が映っている。ウクライナ国防省はこの様子を、ネットフリックスの人気ドラマ『イカゲーム』の参加者の部屋にそっくりだと揶揄した。

イカゲームでは金に困った人々が、やはりぎっしりとベッドが並んだ部屋に押し込められ、そこから「死の運命」が待つゲームに参加するため駆り出されていく。同省は、「ネットフリックスは戦争の影響でロシア市場から撤退したが、イカゲームはまだこの国に残っている」と皮肉った。

「最近まで、ロシア人はネットフリックスで『イカゲーム』を楽しんでいた。ロシアのウクライナへの本格的な侵攻後、ネットフリックスはロシア市場から撤退したが、『イカゲーム』はまだ残っている」

この投稿に対して、ソーシャルメディアの多くのユーザーがコメントを寄せ、ロシア軍の兵舎を揶揄するような「ミーム」(ネット上のネタ画像などを指す)も登場している。あるミームは、イカゲームの参加者が、ロシアの動員センターに入所しなければならないと伝えられて動揺している、というものだ。

■【画像】死のゲームより嫌? ロシア軍を皮肉る「ミーム」画像を見る

食事は与えられず、軍事装備も自分で購入

ロシア軍兵舎の厳しい状況は、これまでも繰り返し指摘されてきた。テレグラムチャンネル「Baza」は、動員センターのベッドが不足しているため、新兵の多くが床で寝ている様子を映した動画を投稿した。

「Ukraine Reporter」がツイッターで公開した映像では、1人の徴集兵が、兵舎の状況に不満を訴えたことで、食事や水を与えられず、トイレの使用も制限されたと語っている。

■【動画】多くの新兵たちが床でゴロゴロと寝転がっている動員センターの様子

ウクライナ軍参謀本部の報告書によると、ロシアの新兵は劣悪な生活環境に加え、防寒具や軍事装備など、戦場で必要なものをすべて自分で購入するよう求められているという。

一部の部隊は、ロシア軍は最低限必要なものも提供せず、銃弾で負った傷の治療に使用するため、応急手当て一式や女性用タンポンを購入するよう命じられたと明かした。

ロシア政府はウクライナ侵攻をめぐって軍隊を強化するため、予備役を部分的に動員すると発表し、予備役30万人が召集されることになったが、彼らを待つのはこの過酷な状況。そこから駆り出される戦場で待っているのは、いったいどんな運命だろうか。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

訂正-メルセデス、中国パートナーとの提携に投資継続

ビジネス

ホンダ、カナダにEV生産拠点 電池や部材工場含め総

ビジネス

スイス中銀、第1四半期の利益が過去最高 フラン安や

ビジネス

仏エルメス、第1四半期は17%増収 中国好調
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 7

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中