最新記事

エリザベス女王死去

女王死去の影響:ヘンリーは離脱を後悔? ウィリアムと父チャールズとの関係が変わる?

AFTER THE QUEEN

2022年9月16日(金)16時20分
クリスティーナ・コーテルッチ、モリー・オルムステッド、ヘザー・シュウィドル(いずれもスレート誌記者)
英王室、エリザベス女王

今後、当面は男性君主が続くことになりそうだ HANNAH MCKAY-POOL-REUTERS

<カミラ夫人の称号は「Princess consort」でなく「Queen consort」に。王室トラブルには今後、チャールズが介入――。今後の英王室を徹底予測:その2>

エリザベス女王の死去はイギリスと王室にどのような変化を引き起こすのか。Q&A形式でまとめた。

「ユニコーン作戦」エリザベス女王の葬儀は死去前から段取りが決まっていた から続く。

王族の王位継承順位や称号は変わるのか。

王位継承順位は変わらないが、いくつかの称号は格上げされる。チャールズの後継者であるウィリアムは、コーンウォール公、ウェールズ公およびケンブリッジ公となり、スコットランドの公爵位も加わる。

チャールズは、プリンス・オブ・ウェールズから国王チャールズ3世となった。英BBCによると、チャールズの名は「チャールズ・フィリップ・アーサー・ジョージ」なので、国王としての名もその4つから選べた。「アーサー王」と名乗ることもできたわけだ!

カミラ夫人の称号は?

「Queen consort(王妃)」となる。しかし、これが1年前なら違っていたかもしれない。カミラは以前、チャールズが即位したら自分は「Princess consort」を名乗ると自嘲ぎみに発言していた。国民からの嫌われぶりを自覚していたためだろう。英国王の配偶者としては初めて「Queen」の付かない称号で呼ばれるはずだったが、今年2月、彼女に「Queen consort」を名乗ってほしいとエリザベス女王が述べた。

「consort」は通常、君主の配偶者に使われる称号で、女性は「Queen consort」、男性の場合は「Prince consort」の称号で呼ばれることが多い。エリザベス女王の夫、故フィリップ殿下が「King」の称号で呼ばれなかったのもこのためだ。

いずれまた、女王が生まれることはあるのか。この先控えているのは男子ばかりだが。

当面は男性君主が続くのは間違いない。チャールズの次は長男のウィリアム、次はその長男で今はまだ幼いジョージ、その次はおそらくジョージの将来の第1子だ。

だが何らかの理由でジョージが退位すれば(アメリカ人女性との結婚を選んで退位したエドワード8世の例もある)、ウィリアムの第2子であるシャーロット王女に王位継承権が回ってくる。そうなれば、男性の王位継承者(弟のルイ)がいても女性として初めて即位することになる。2013年に王位継承法がようやく改正され、女子も男子と対等な立場で扱われるようになった。

magSR20220916afterthequeen-2-1.jpg

死去の2日前にはトラス新首相に笑顔で面会 JANE BARLOW-POOL-REUTERS

女王は新首相と面会したばかりだった。そのことと死去の関係は?

確かに女王は9月6日にリズ・トラスと面会し、彼女を正式に首相に任命した。首相任命は通常バッキンガム宮殿で行われるが、女王が「移動の問題」を抱えていたため、トラスがスコットランドの静養先に出向いた。面会時の写真を見ると、女王は立って笑顔でトラスと握手を交わしている。死去の2日前だったことを考えると驚きだ。

女王がトラスの門出を困難なものにしようと「狙った」というジョークも聞こえるが、女王の死去はむしろ96歳という年齢に関連がある可能性が高い。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中