最新記事

選挙

仏大統領線、ルペンへの「極右アレルギー」後退 決選投票はマクロン僅差の戦いも

2022年4月12日(火)17時12分

ルペン氏は10日の演説で、「分断された」国民を団結させ、マクロン氏がもたらした「混乱」に終止符を打つのは自分だとアピールした。ルペン氏によれば、銀行出身のマクロン氏は「金の力」を体現する政治家で、ごく少数の人々のために奉仕してきたという。

読めない左派票の行方

マクロン氏側は、左派有権者も取り込むことができない。予想得票率3位で極左「不屈のフランス」を率いるジャン・リュク・メランション氏は、有権者らにルペン氏には票を入れないよう求めたものの、マクロン氏支持は明言しなかった。つまりメランション氏が獲得しそうな21%の有権者票が決選投票でどこに向かうか予断を許さない。世論調査からは、多くが棄権に回る可能性がうかがえる。

メランション氏の選対本部に詰めていたある女性有権者(27)はロイターに「マクロン氏の政策が極右の勢力を強めた」と言い切った。この女性は17年にはマクロン氏に投票、今回の決選投票は棄権するつもりだという。

別のメランション氏支持者の音楽プロデューサー(36)はなお迷っている様子で「この2週間の推移を見守る。もし世論調査で(マクロン氏が)49対51で劣勢なら、その時点でマクロン氏に投票する」と答えた。

マクロン氏の支持者や選対関係者は、ルペン氏を倒すには有権者のところにもっと足を運んで支持を訴える活動をする必要があるとの見方を示した。ルペン氏が国民の間に広がった生活費増大に対する怒りや、根強い反エリート感情にうまく乗じて支持を伸ばしてきたからだ。

マクロン氏自身も、ウクライナ問題への対応に追われて選挙活動に入るのが遅すぎたと認めている。元駐米大使のジェラール・アロー氏はツイッターに「決選投票では、マクロン氏は第1回投票よりもいささか(選挙戦に)本腰を入れる必要が出てくる」と書き込んだ。

(Michel Rose 記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア戦車を破壊したウクライナ軍のトルコ製ドローンの映像が話題に
・「ロシア人よ、地獄へようこそ」ウクライナ市民のレジスタンスが始まった
・【まんがで分かる】プーチン最強伝説の嘘とホント
・【映像】ロシア軍戦車、民間人のクルマに砲撃 老夫婦が犠牲に


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米SEC、イーサ現物ETF上場を承認 年内に取引開

ワールド

米大統領選後の暴力、有権者の7割が懸念=世論調査

ワールド

米上院委員会、トランプ氏と石油業界の「取引」巡る調

ビジネス

インフレなお懸念、利下げまで「忍耐強く」=米アトラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決するとき

  • 2

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレドニアで非常事態が宣言されたか

  • 3

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」...ウクライナのドローンが突っ込む瞬間とみられる劇的映像

  • 4

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 5

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 6

    韓国は「移民国家」に向かうのか?

  • 7

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 8

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 9

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 10

    国公立大学の学費増を家庭に求めるのは筋違い

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 8

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 9

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 10

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中