ウクライナの動物園、動物は園外に逃げ、給餌をしていた飼育員が銃撃された
ウクライナ北東部ハリコフの5000匹の動物を飼育する動物公園では深刻は打撃を受けた Facebook/FeldmanEcopark
<ロシアによるウクライナ侵攻は、ウクライナ国内の動物園にも深刻は影響を及ぼしている......>
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、ウクライナ国内の動物園などで飼育されている動物たちにも深刻な影響を及ぼしている。
動物たちのストレスも限界に
1907年から運営されている首都キエフで唯一の大型動物園「キエフ動物園」では200種4000匹の動物が飼育されている。ロシアによる軍事侵攻に伴って、2022年2月下旬以降、閉園しているものの、約50人のスタッフが住み込み、24時間体制で動物たちの安全と健康を懸命に守り続けている。
A bunker in a birdhouse: Kyiv zoo prepares for war
園内の動物たちは別の場所に逃げたり、隠れたりすることもできない。スタッフは一部の動物を屋内の囲いや地下室に移動させて安全を確保し、獣医がそれぞれの健康や情緒の状態を注意深くモニタリングしている。
空襲警報のサイレンや爆音が一日中鳴り響き、夜間には銃声も聞こえる過酷な状況下で、動物たちのストレスは高まっている。
大きな音を嫌うアジアゾウの「ホラス」はショックを受け、鎮静剤の投与が必要となった。キツネザルの「マヤ」は過度のストレスから、生まれたばかりの赤ちゃんの育児を放棄してしまった。スタッフが「マヤ」に代わって赤ちゃんを育てている。
「キエフ動物園」では、イスラエルの「ハイファ教育動物園」から助言を得、この軍事侵攻に備えてきた。軍事侵攻前には2週間分の餌や食料、必要な資材を蓄え、3月8日にも追加の物資が届けられた。園内ではビニールハウスを設置し、葉野菜を栽培している。
動物は園外に逃げ、給餌をしていた飼育員が銃撃された
激しい戦闘が続くウクライナ北東部ハリコフでは、300種以上5000匹の動物を飼育する動物公園「フェルドマンエコパーク」が深刻な被害を受けている。囲いが破壊され、園外に逃げた動物もいる。負傷やストレスで死亡する動物も少なくない。3月7日には動物に給餌をしていた飼育員2人が銃撃され、13日にも飼育員1人が給餌中に死亡した。
動物たちをウクライナ国外に移動させる動きもある。キエフ近郊の動物保護施設「ホワイトロック・ベアシェルター」では、3月1日、ライオンやトラ、イヌ科の肉食獣リカオンなどを隣国ポーランド西部の「ポズナン動物園」へと送り出した。
その後、ライオン4頭とリカオン1匹はスペインに、ライオン2頭はベルギーに送り届けられている。「ポズナン動物園」では、3月11日、フェイスブックに動画を投稿し、キエフから救出されたトラの赤ちゃんの様子を伝えた。