最新記事

日本社会

著述業、農業は80%以上......職業別フリーランス比率ランキング 

2022年3月23日(水)10時40分
舞田敏彦(教育社会学者)
フリーランスライター

フリーランスの時代と言われるようになったが日本はまだまだ雇われ労働の社会 Antonio_Diaz/iStock.

<会社に縛られたくない、自由な働き方をしたい、と考える人は少なくないが、フリーランスで生計を立てるのは容易ではない>

労働者は大きく、会社に雇われて働く雇用労働者と、自分で事業を営む自営業に分かれる。後者のうち、人を雇わず自分1人で事業を営む人、自分の腕1本で食べている人がいわゆるフリーランスだ。

2015年の『国勢調査』によると、フリーランス(雇人のない業主)は396万人。対して、会社等の組織に雇われて働く雇用労働者は4654万人。数としては雇用労働者が圧倒的に多い。フリーランスの時代とか言われるようになったが、日本はまだまだ雇われ労働の国だ。雇用者とフリーランスに集まってもらい、後者の割合を出すと7.8%となる。勤め人とフリーランスを一緒くたにした集団では、後者は13人に1人とマイノリティーだ。

だがこれは就業者全体の数値で、職業によって大きく異なる。『国勢調査』の職業小分類統計をもとに、上記の数値を細かい職業別に算出できる。<図1>は、目ぼしい6つの職業の結果を図示したものだ。正方形全体は雇用労働者とフリーランスの合算で、青色は後者の比重を表す。

data220323-chart01.png

人文・社会系の研究者(大学教員は含まず)は雇用労働者が5750人、フリーランスが60人で、両者の合算に占める後者の率は1%でしかない。『在野研究ビギナーズ』という本が話題になったが、自分の研究を売って生活しているフリー研究者はごくわずかだ。歯科医師は1割ちょっとで、助手を雇わず個人で医院を開いている人などだろう。著述家は大半がフリーランスで、これは予想通りだ。

家政婦(夫)もフリーランスの率が高い。派遣会社に雇われている人が多いかと思いきや、そうではない。高齢化の進行で、体が思うように動かない高齢者が増えてくる。ゴミ出し、電球の取り換え、瓶の蓋を開ける、排水溝の清掃といった「ちょこっと需要」は、これから爆増するだろう。これなら会社を介さずとも、個人でできそうだ。高齢層から若年層にお金を還流させることにもなり、よいビジネスとも言える。理容師もフリーランスが多い。雇用契約を結ばず、単発で仕事を請け負っている人が増えていると聞く。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中