最新記事

海洋生物

1億8000万年前の巨大な「魚竜」の化石が英国で見つかる

2022年1月14日(金)12時05分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
テムノドントサウルス・トリゴノドンの化石

発掘された魚竜の横に寝転がる古生物学者ディーン・ロマックス ©ANGLIAN WATER

<体型はイルカ似だが、体長は約10メートル──巨大な海洋生物の化石が英国で見つかった>

イングランド中部で巨大な魚竜の化石が発見された。

専門家によれば、約1億8000万年前に生息していたテムノドントサウルス・トリゴノドン(Temnodontosaurus trigonodon)で、英国で発見されるのは初めてのことだという。

この化石は、水道会社がラトランド・ウォーター自然保護区に所有する土地にある貯水池を水抜きした際に見つかった。自然保護区を運営するレスターシャー・ラトランド・ワイルドライフ・トラストの保護チームリーダーで、化石の発見者のジョー・デービスは次のように語っている。

「この驚くべき生物がかつてこの場所にあった海で泳いでいたのだと考えると、とてもワクワクする」

体型はイルカに似ているが、大きさは全く違う。頭蓋骨だけでも2メートルあり、全長は10メートルにも及ぶ。魚竜は約2億5000万年から9000万年前にかけて世界の海を遊泳していた海洋爬虫類だ。生息していた時期は重なるが、恐竜ではないという。

webw220113_seadragon2.jpg

アーティストによって作成された魚竜の復元図 ©BOB NICHOLLS

現在までに世界中で100種以上の魚竜が発見されているが、大きな化石のほとんどはドイツと北米で見つかっており、今回のケースは非常に珍しいという。英国で発見された化石としては最大であり、ほぼ完全な骨格が保たれていた。

ラトランドでの化石発掘は、マンチェスター大学の客員研究員で魚竜研究を行う古生物学者ディーン・ロマックスらによって慎重に進められた。

ロマックスは声明の中で「発掘の指揮をとることができて光栄だった」と振り返り、次のように述べている。

「まさに前例のないことであり、英国の古生物学史上で最も重要な発見の一つだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場・午前=急騰、S&P500が3月以来の

ワールド

トランプ氏、カタールからの航空機受領を正当化 政権

ビジネス

英中銀政策委員、物価高警戒 「高い上昇圧力」と指摘

ワールド

印首相「パキスタンはテロインフラ排除を」、国際社会
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 3
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王子との微笑ましい瞬間が拡散
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 6
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 7
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 8
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 9
    ロシア艦船用レーダーシステム「ザスロン」に、ウク…
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 10
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中