最新記事

地政学

中国か台湾か ソロモン諸島、国交問題で政府と州が対立

2021年12月5日(日)11時48分

これに対しソロモン諸島政府は同年10月、米国による援助プログラムはまず中央政府の承認を得る必要があるとして、マライタ州に適正な手続きを尊重するよう警告。「外国からの援助の政治利用」を止めるよう国民に訴えた。

スイダニ州首相の政策顧問は、米国からの援助は、ソロモン諸島政府から支援を要請した書簡に応じたものであり、2019年に中国承認へと舵を切る前の話であると話している。

豪州はなぜ部隊を派遣したのか

豪州は、ソガベレ首相が両国間の安全保障条約に基きホニアラの治安回復のために警察部隊の派遣を要請したことに応じたものだと説明。「私たちの関心は安定の維持にあり、対立するどちらか一方にくみすることはない」と主張している。

他方でマライタ州は、豪州の決定は意外だと述べている。

これまでにも豪州の警察部隊は、太平洋諸島フォーラムの決議で承認された平和維持活動として、2003年にソロモン諸島に派遣され、10年間駐留を続けたことがある。

1998年から2003年にかけてはガダルカナル、マライタ両州の武装グループが絡む深刻な国内暴動、武力紛争が続いていた。

一方、豪州と中国の外交関係には緊張が漂っている。豪国防相は中国が、地域の平和と繁栄を促進するという建前と裏腹に「警戒すべき」行動をとっていると批判しており、中国政府からの非難を受けている。

(翻訳:エァクレーレン)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・中国の不動産バブルは弾けるか? 恒大集団の破綻が経済戦略の転換点に
・中国製スマホ「早急に処分を」リトアニアが重大なリスクを警告
・武漢研究所、遺伝子操作でヒトへの感染力を強める実験を計画していた



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

海運マースク、第1四半期利益が予想上回る 通期予想

ビジネス

アングル:中国EC大手シーイン、有名ブランド誘致で

ビジネス

英スタンチャート、第1四半期は5.5%増益 金利上

ワールド

トルコ製造業PMI、4月は50割れ 新規受注と生産
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中