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韓国の先進国への道を開いた「盧泰愚」を、国民はどう評価しているか

Unusual Ordinary Man

2021年11月3日(水)14時13分
浅川新介(ジャーナリスト)

経済でも、韓国経済の宿痾(しゅくあ)だった政経癒着を断ち切ろうとし、金融実名制などの構造改革を断行しようとした。しかし、財界の強硬な反対で意欲をなくし、腰砕けになった。

盧は韓国で「ムル泰愚」としばしば揶揄された。ムルとは韓国語で「水」、無色透明でつかみどころがない男という意味だ。だが彼は「水は一滴一滴が集まって、大きな海を成し遂げる。それを見ると水の力は大きい」と述べ、水と呼ばれることをむしろ喜び、水のように柔軟に生きるのが自分の哲学だと反論した。

民主化宣言の当時、彼は全と権力にとどまるつもりだったのだろう。だが、国民の民主化への強い要求に圧倒され、結果的に全を切り捨てた。一方、軍事政権時代に甘い蜜を吸ってきた財界の誘惑は切り捨てることができなかった。

盧の「水の哲学」は一つの思想になり得なかった。ただ、韓国が先進国となる道を切り開き、現在でもその恩恵が続く北方外交は彼の功績だ。それ故、韓国国民の心はざわついてしまう。

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