最新記事

中国

中国共産党100周年、習近平の「今後」を予測する

XI’S TOP AGENDA

2021年7月1日(木)07時00分
ミンシン・ペイ(本誌コラムニスト、クレアモント・マッケンナ大学教授)

頭痛のタネは2つ

扱いが難しいのは新型コロナウイルスの起源について完全かつ透明性の高い調査を求める国際社会の圧力と、来年2月に迫る北京冬季五輪のボイコットを叫ぶ声の高まりだ。

中国はこれまで、どちらの問題でも強硬姿勢を貫いてきた。ウイルス起源の再調査は拒み、五輪ボイコットの主張には非難を浴びせている。

新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所から流出したという臆測に関しては、とにかく嵐の通り過ぎるのを待ちたい。しかし、仮にも流出説を裏付ける信憑性の高い証拠が出てくれば、中国の国際的イメージは取り返しのつかないほど傷つく。

証拠が何も出ず、五輪ボイコットを決める国が一つもなかったとしても、今度の冬季五輪で大きな政治的成果を出すのは難しい。

ウイルス変異株の流入が怖いから、中国政府は各国選手団とその関係者以外の入国を認めない可能性が高い。そうなれば盛り上がらない。華やかな五輪で中国の「ソフトパワー」をアピールしたい習の目算は狂う。

そもそも中国には、スケートを除けば冬の競技種目でメダルを狙える選手がほとんどいない。夏の大会でメダル量産・国威発揚を期す日本とは違う。今の中国指導部に、北京冬季五輪を楽しみにしている人などいない。

(※ニュースを読み解き、教養を磨く方法と今後の世界のトレンドを奇才モーリー・ロバートソンが伝授。13の国・地域別に「羅針盤」となる解説記事を盛り込んだ本誌7月6日号「教養としての国際情勢入門」特集より)


20240618issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年6月18日号(6月11日発売)は「姿なき侵略者 中国」特集。ニューヨークの中心やカリブ海のリゾート地で影響力工作を拡大する中国の「ステルス侵略」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

三菱UFJ銀と系列2証券に処分勧告、違法に情報共有

ビジネス

ECB、指標が予想通りなら利下げ継続可能=ラトビア

ビジネス

中国恒大の清算人、PwCなどサービス企業調査 財務

ビジネス

インド中銀、複数の市場で為替介入 最安値更新を阻止
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名が海水浴中に手足を失う重症【衝撃現場の動画付き】

  • 3

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 4

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 5

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    国立新美術館『CLAMP展』 入場チケット5組10名様プレ…

  • 8

    ジブリの魔法はロンドンでも健在、舞台版『千と千尋…

  • 9

    「これが野生だ...」ワニがサメを捕食...カメラがと…

  • 10

    長距離ドローンがロシア奥深くに「退避」していたSU-…

  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 4

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 5

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 6

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 7

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 8

    カラスは「数を声に出して数えられる」ことが明らか…

  • 9

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 10

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 5

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開する…

  • 6

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 7

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 9

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中