最新記事

再生可能エネルギー

世界の発電、今後10年で太陽光が「新たな王様」に= 国際エネルギー機関

2020年10月13日(火)17時01分

国際エネルギー機関(IEA)は13日に公表した年次の世界エネルギー見通しで、太陽光発電が今後10年の再生可能エネルギーの供給拡大をけん引すると予想した。写真はブラジルのサンパウロ郊外に広がる太陽光パネル。今年2月13日撮影。(2020年 ロイター/Amanda Perobelli)

国際エネルギー機関(IEA)は13日に公表した年次の世界エネルギー見通しで、太陽光発電が今後10年の再生可能エネルギーの供給拡大をけん引すると予想した。現在と条件が変わらないという前提で、再生エネは発電量全体の伸びの80%を占めると見込む。

IEAは既に発表された政策や目標を反映する中心的シナリオとして、再生可能エネが2025年までに石炭に代わり、最大の電力供給源になるとの見通しを示した。

太陽光と風力の世界の発電量に占める割合の合計は2019年の8%から30年には30%近くまで上昇する見込み。太陽光発電能力は年平均で12%拡大すると予想する。

IEAのビロル事務局長は「太陽光が世界の電力市場の新たな王様になるとみている」と述べ、政策面で変化がないという前提では、2022年以降は、発電設備の展開で毎年、記録を更新するだろうとした。

IEAによると、技術の成熟化やさまざま支援措置によって主要な太陽光発電事業の資金調達コストが低下し、全体の発電コストの低下につながった。大半の国では、太陽光発電は新しい石炭火力あるいは天然ガス火力の発電所よりもコストが低くなっているという。

また、2020年時点で発電量が拡大を続けている主要な電力供給源は再生可能エネルギーのみだと指摘した。

一方、太陽光および風力の発電が増えているにもかかわらず、2021年の二酸化炭素(CO2)排出量は再び増える見通し。20年は2.4ギガトン減るとみられている。27年に19年の水準を超過し、30年には36ギガトンまで増えると予想した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中