最新記事

バチカン

「ヒトラーの教皇」と呼ばれたピウス12世、保管文書公開で汚名は返上されるか?

2020年3月3日(火)18時30分
ケネス・ローゼン

「ヒトラーの教皇」と呼ばれたピウス12世だが VATICAN MEDIA-HANDOUT-REUTERS

<第2次大戦中、ナチスによるホロコーストを黙認していたとして批判されてきたローマ教皇ピウス12世――ローマ教皇庁は当時の公文書を3月2日に公開>

ローマ教皇ピウス12世(1939~58年在位)は第2次大戦中、ナチスによるホロコースト(ユダヤ人虐殺)を黙認していた――長年そうした批判にさらされ、「ヒトラーの教皇」とまで呼ばれた宗教指導者について真実の一端が明らかになるかもしれない。

当時の公文書はこれまで非公開で保管されてきたが、ローマ教皇庁は「教会は歴史を恐れていない」として、それらの文書を3月2日に公開することに。当時の教皇の言動やカトリック教会の内幕を検証できれば、近現代史研究に大きく資すると期待される。

一部の研究者は以前から、ユダヤ人をかくまっていた修道院に個人的に資金援助を行うなど、ピウス12世には「親ナチス」でない側面があったと指摘してきた。また教皇就任の1年前に、ナチスを糾弾する秘密文書を米当局に送っていたともいわれる。アウシュビッツ強制収容所の解放から今年1月で75周年。保管文書の公開は歴史の一部を書き換えるかもしれない。

<本誌2020年3月10日号掲載>

【参考記事】アウシュビッツから75年、ホロコースト記念碑で新たな「悲劇」が
【参考記事】バチカンが認めた「隠し子」マニュアルの存在

20200310issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月10日号(3月3日発売)は「緊急特集:新型肺炎 何を恐れるべきか」特集。中国の教訓と感染症の歴史から学ぶこと――。ノーベル文学賞候補作家・閻連科による特別寄稿「この厄災を『記憶する人』であれ」も収録。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾議会、改革巡り紛糾 野党案への抗議で数百人がデ

ワールド

中国の過剰生産能力、欧米は連携して対応する必要と米

ワールド

ロシアの制裁逃れ対策強化を、米財務長官が欧州の銀行

ワールド

シリア大統領夫人、白血病と診断 乳がん克服から5年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 4

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    9年前と今で何も変わらない...ゼンデイヤの「卒アル…

  • 7

    ベトナム「植民地解放」70年を鮮やかな民族衣装で祝…

  • 8

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 9

    服着てる? ブルックス・ネイダーの「ほぼ丸見え」ネ…

  • 10

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 5

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 9

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 10

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中