最新記事

日韓関係

韓国の文大統領、三権分立で徴用工判決を尊重「日本は政治問題化すべきでない」

2019年1月10日(木)13時40分

1月10日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、日本企業の資産差し押さえが裁判所に認められるなどした元徴用工訴訟について、司法判決を尊重する考えを表明。韓国との歴史問題を日本側は政治問題化すべきでないなどとけん制した。写真は大統領府で会見する文氏。1月10日、ソウルで撮影(2019年 Jung Yeon-je/Pool via REUTERS)

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は10日、青瓦台(大統領府)で年頭の記者会見を開き、日本企業の資産差し押さえが裁判所に認められるなどした元徴用工訴訟について、司法判決を尊重する考えを表明した。その上で、韓国との歴史問題を日本側は政治問題化すべきでないなどとけん制した。

文大統領は、日本の指導者が韓国との歴史問題を政治化させることは今後の二国間関係を損ねる可能性があり、賢明ではないと発言。また、韓国政府は司法判決を尊重しなくてはらならず、日本はそれを理解すべきとの認識を示した。

第2次世界大戦中の元徴用工を巡っては、韓国最高裁が日本企業の賠償を認めた判決を受け、原告側が新日鉄住金の資産差し押さえを申請。韓国の裁判所がこれを認めたことから、日本政府は9日、駐日韓国大使に対し、1965年の日韓請求権協定に基づくニ国間協議を要請した。

文大統領はこのほか、北朝鮮の核開発問題について、2回目の米朝首脳会談が近く実現する見通しで、その後に金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が訪韓する可能性があると語った。また、非核化のプロセスには、同国北西部の寧辺(ヨンビョン)にある核施設と、大陸間弾道ミサイル(ICBM)関連施設の解体が含まれる可能性があると指摘。米軍の戦略兵器の撤収は非核化の条件にならない見込みだと語った。

さらに文氏は、金委員長が開城(ケソン)工業団地と金剛山(クムガンサン)観光の南北共同事業を無条件で再開する用意があると発言したことを歓迎。対北制裁を巡る問題の解決に向け、米国を始めとした国際社会と協力していく考えを示した。

[ソウル 10日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中