zzzzz

最新記事

ベネズエラ

キューバ危機再び?ロシアが核爆撃機をベネズエラに派遣

U.S. Tweets, Russia Defends Its Bombers in Venezuela

2018年12月12日(水)19時00分
トム・オコーナー

ドナルド・トランプ大統領は今年10月、1987年に旧ソ連との間で締結した中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄する方針を発表した。その後、アメリカが完全にINFから脱退するなら、軍事面での「バランスが回復」をはかるために、ロシアはキューバに軍事基地の建設を検討するかもしれない、という憶測が報じられた。

現在の危うい状況は、1962年のキューバ・ミサイル危機とよく似ている。当時はキューバに核ミサイルを運び込もうとしたソ連の艦隊に対して米海軍が海上封鎖を行い、核戦争の一歩手前までいった。このときのミサイルは現在のINF条約のもとでは禁止されるだろう。いずれも射程が条約で禁止されている500~5500キロの範囲にあり、アメリカ本土全体を攻撃することができるからだ。だがアメリカがINFから離脱すれば、そうしたミサイルをキューバやベネズエラに配備することができる。

ロシアの戦闘機がベネズエラに送られたことに関して、共和党のマルコ・ルビオ上院議員は11日にツイッターに投稿、ロシア軍は「ベネズエラから西半球に向けて軍事力を誇示するために、明日にもメキシコ湾とカリブ海のパトロールを開始するだろう」と予言した。ルビオはこれまでもキューバ、ニカラグア、ベネズエラその他中南米の左派政権を頻繁に非難している。

イラン、北朝鮮も仲間に

一方、ベネズエラのマドゥロは、反政府クーデターや、8月に起きた爆薬を積んだ無人機(ドローン)による暗殺未遂事件はアメリカの仕業だと非難している。そして、長年アメリカに敵対してきた国々はベネズエラとの関係強化をはかっている。

北朝鮮の最高人民会議常任委員会の金永南(キム・ヨンナム)委員長は11月末にマドゥロのもとを訪れ、両国の連帯をアピールした。トランプと北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、これまでの敵対関係を解消し、和平交渉を受け入れたが、北朝鮮は依然としてアメリカの最も厳しい経済措置の対象となっている。

アメリカの制裁措置で打撃を受けたイランもロシアに続いて、ベネズエラに軍事資産を送るかもしれない。2015年のイランとの核合意から離脱して以来、トランプはイランの指導者がテロを支援し、ミサイル技術を海外に輸出していると非難、制裁を科しているのだが、それが敵同士を近づける結果を生んでいる面もある。

イランとベネズエラは共にアメリカの制裁に端を発する経済的苦境に直面し、そのなかで友好関係を維持している。イラン海軍の副司令官、トウラジ・ハッサニ・モクアダン中将は最近、ベネズエラを訪問するために最新型のサハンド駆逐艦や他の軍艦を送る可能性があると述べた。

(翻訳:栗原紀子)

20240604issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年6月4日号(5月28日発売)は「イラン大統領墜落死の衝撃」特集。強硬派ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える グレン・カール(元CIA工作員)

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:デモやめ政界へ、欧州議会目指すグレタ世代

ワールド

アングル:アルゼンチン止まらぬ物価高、隣国の町もゴ

ビジネス

アングル:肥満症薬に熱視線、30年代初頭までに世界

ワールド

イスラエル、新休戦案を提示 米大統領が発表 ハマス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...すごすぎる日焼けあとが「痛そう」「ひどい」と話題に

  • 3

    ウクライナ「水上ドローン」が、ロシア黒海艦隊の「極超音速ミサイル搭載艇」を撃沈...当局が動画を公開

  • 4

    ヘンリー王子とメーガン妃の「ナイジェリア旅行」...…

  • 5

    ロシアT-90戦車を大破させたウクライナ軍ドローン「…

  • 6

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 7

    1日のうち「立つ」と「座る」どっちが多いと健康的?…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    米女性の「日焼け」の形に、米ネットユーザーが大騒…

  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 4

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 5

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 6

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 7

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 8

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 9

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中