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サハラ砂漠にソーラー発電建設すると、雨が降って、緑になるという・・なぜ?

2018年9月12日(水)17時00分
高森郁哉

図らずもサハラ砂漠に雨を降らす ugurhan-iStock

アフリカ大陸北部のサハラ砂漠では、ソーラー(太陽光、太陽熱)や風力の大規模な発電施設が計画されている。これが実現すると、意図せず降雨量の増加と緑化に貢献する可能性がある──。そんな研究結果が最近報告された。

発電施設が地表にもたらす変化

メリーランド大学の研究者らによる論文が米学術誌「サイエンス」に掲載され、「ニューヨーク・ポスト」などが報じた。

メリーランド大のニュースリリースの中で、論文主著者のユージニア・カルネー博士は、大学院生時代の指導教官が提唱した「砂漠化のフィードバックメカニズム」が出発点になったとしている。過放牧により牧草が激減して地表の反射能(入射光に対する反射光の比。アルベド)が増加し、降雨量を減らし、その結果植生が減少するという悪循環を説明するものだった。

カルネー博士はその後、大規模なソーラー施設は地表の反射能を低減するので、反射能・降雨量・植生のフィードバックメカニズムが反対方向にはたらくのではないかという仮説を立てた。風力発電施設も同様に、地表における大気の摩擦と収束を増加させ、上昇気流を生み、降雨量増加につながると考えられる。

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気候モデルに基づき降雨量の変化を計算

研究チームは、サハラ砂漠および隣接するサヘル地域に大規模なソーラー・風力発電施設が設置された場合を想定し、植生の変化を伴う気候モデルを使って気候への影響をシミュレートした。その結果、サハラ砂漠の降雨量は2倍以上、サヘル地域の降雨量は年間最大200ミリから最大500ミリ増加することが明らかになった。これにより、植生も面積比で20%増加するという。

メリーランド大によると、現在アフリカと中東では大規模なソーラー・風力発電のプロジェクトが多数進行中だという。その中には、ソフトバンクがサウジアラビアに世界最大となる200ギガワットのソーラー発電施設を建設する計画も含まれている。


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