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マレーシア、北朝鮮の容疑者を釈放 金正男事件の捜査は暗礁に?

2017年3月3日(金)13時12分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


マレーシア、北朝鮮とのビザなし協定を破棄へ

一方、マレーシアの現地メディア、ザ・スターなどが伝えるところでは、マレーシアのザヒド副首相兼内相は2日、北朝鮮との間で交わされていたビザ無し渡航を6日から廃止すると発表した。クアラルンプール空港で発生した金正男暗殺事件をめぐり、マレーシア側の対応を批判してきた北朝鮮に対する事実上の制裁措置だ。

マレーシアは1973年に北朝鮮と外交関係を結び、2003年には平壌に大使館を開設。2009年からはビザなし渡航をできるようにした。現在マレーシアには鉱山などで1,000人あまりの北朝鮮労働者が働いており、今回のビザ免除協定の破棄は北朝鮮にとって大きな痛手となると見られている。

一方、現地シンクタンクのアナリストによれば、マレーシアにとって北朝鮮が貿易に占める割合は5万分の1に過ぎないため、仮に国交の断行となった場合でも大きな影響はないと分析している。

また、今回の事件についてマレーシア当局が強行な姿勢を崩していない背景には、マレーシア政府の抱える政治状況が影響しているという指摘も出ている。聯合ニュースは、ナジブ首相は自らの主導で設立した国営投資会社ワン・マレーシア開発(1MDB)を巡る不正資金流用問題、いわゆる「1MDBスキャンダル」で支持率が下がっており、今回の金正男暗殺事件で北朝鮮への対決姿勢を見せることで支持率回復を狙っている、と報じている。

参考記事:ナジブ首相の足をひっぱるマレーシアのイメルダ夫人

北朝鮮からの代表団、遺体引き渡しを求める

東南アジアの国々の中でもっとも友好的な関係を築いてきたマレーシア側の強行な態度に対して、北朝鮮は2月28日ハイレベルの外交団を派遣して、事態収拾を図ろうとしている。聯合ニュースなどによれば、リ・ドンイル前国連次席大使を含む一行は、マレーシア政府の一部閣僚とも接触して、遺体の引き渡しと容疑者としてマレーシア警察当局に拘束されているリー・ジョンチョルの解放を求めたと言われている。

リ前国連次席大使は、2日夕方、北朝鮮大使館前で記者会見を開き、「死亡した北朝鮮国籍の者は化学兵器ではなく心臓発作で死亡した。マレーシア当局は遺体を早急に引き渡して欲しい」と語った。また「猛毒の神経ガスVXを使ったという容疑者の女性2人が生きていて、なぜ被害者のみ死亡したのか? 死亡の原因がVXだという根拠がない」と話し、さらに「事件には韓国の政治的な意図がある」と北朝鮮による暗殺事件という見方を一蹴した。

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