最新記事

ガンビア

注目の就任式は行われるか、もうひとつの大統領就任に高まる緊張

2017年1月18日(水)20時01分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

同じ年の独裁者と新参者

 現職のジャメは94年の軍事クーデターで権力を掌握し、96年に複数政党制を盛り込んだ新憲法を制定。政党「愛国再建同盟(APRC)」を結成し、選挙に勝利して大統領に就任した。任期は5年。これまで4期20年を務めている。

 フォーリン・ポリシーによれば、魔女狩りのように弾圧を繰り返し、自分ならエイズを治せると言い張り、「ネブラスカ州大海軍大将」という謎の経歴を持つ、危険で奇怪な独裁者だ。昨年10月には国際刑事裁判所(ICC)からの脱退も表明している。

【参考記事】アフリカ諸国の脱退相次ぐICC、ガンビアは西側の二重基準を非難

 一方、大統領選に勝利したバロウは、ガンビア政界の新参者だ。ガンビアがイギリスから独立した1965年に同国西部の小さな村に生まれ(ジャメと同じ年)、2000年代前半にはイギリスで学びながら警備員として働いていたと、BBCは伝える。2006年に帰国して不動産業を興し、昨年9月、野党リーダーが投獄されたという要因もあって野党7党の大統領選統一候補に選ばれたという。

 バロウは選挙戦でジャメの政敵投獄や長期政権を批判し、その「業績」を否定、ICC復帰も公約した。ガンビア経済は低迷にあえいでいるが、BBCによれば、その影響をもろに受けている若年層に特に支持されたようだ。

 選挙戦での勝利後、バロウは1月14日にマリで開催されたアフリカ・フランス首脳会議に招待され、フランソワ・オランド仏大統領とも会談している。国際社会のバックアップは得つつあるが、果たして予定どおり大統領に就任できるのか。

 独裁者、選挙の混乱、経済低迷......。よくあるアフリカの話で済ませてはならない。「世界の警察官をやめる」と主張してきたトランプの大統領就任により、今後はこうした政変や危機がますます野放しになるかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請、10カ月ぶり高水準 労働市場の

ビジネス

米財務長官、成長・インフレ見通しを楽観視

ワールド

ハマス、ガザ停戦実現へ行動すべき=バイデン氏

ワールド

トランプ氏、ウクライナ支援を批判 減税・関税を支持
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を締め上げる衝撃シーン...すぐに写真を撮ったワケ

  • 4

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 5

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 6

    国立新美術館『CLAMP展』 入場チケット5組10名様プレ…

  • 7

    長距離ドローンがロシア奥深くに「退避」していたSU-…

  • 8

    ジブリの魔法はロンドンでも健在、舞台版『千と千尋…

  • 9

    ウクライナ軍がロシアのSu-25戦闘機を撃墜...ドネツ…

  • 10

    【衛星画像】北朝鮮が非武装地帯沿いの森林を切り開…

  • 1

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...? 史上最強の抗酸化物質を多く含むあの魚

  • 4

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開する…

  • 5

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 6

    カラスは「数を声に出して数えられる」ことが明らか…

  • 7

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 8

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が妊娠発表後、初めて公の場…

  • 10

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 10

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中