最新記事

日米関係

ハッカビーは田母神に騙されている?

第2次大戦は侵略戦争ではなかったという田母神と、米大統領選の有力候補ハッカビーが親しくするミステリー

2009年12月16日(水)16時08分
ジョシュ・ローギン

ハッカビーの写真も 田母神のニューヨーク講演ツアーを告知するサイト

 あなたなら、第2次大戦は侵略戦争ではなかったと主張して更迭された日本の元航空幕僚長のディナークルーズに参加して講演を聴きたいと思うだろうか。マイク・ハッカビーはそれを望んでいるようだ。

 08年米大統領選の共和党候補の一人で、次も有力候補と見なされる前アーカンソー州知事のハッカビーは、この合い間を利用してFOXニュースのトーク番組「ハッカビー」の司会を務めている。田母神はこの番組に出演しインタビューを受ける予定だと、田母神の訪米ツアーの企画担当者は言う。

 田母神のニューヨーク講演ツアーは10年3月で、25日には参加費150ドルのディナークルーズ、26日には会員制の社交クラブ、ユニバーシティクラブで140ドルの講演会が予定されている。ツアーを宣伝する田母神のウェブサイトには、ハッカビーの写真とハッカビーの個人サイトへのリンクも掲載されている。(編注:17日現在、ハッカビーの写真などを載せたページは削除された)

「歴史の重みあるユニバーシティ・クラブで、あなたもその熱き想いを共有してみませんか」と、このサイトは呼びかける。

多くの人が今も英雄視

 いったいどういうことだろう。「田母神俊雄ニューヨーク講演実行委員会」の高崎康裕代表に話を聞くことができた。

 高橋によれば、まだ100%決定したわけではないが、ハッカビーはニューヨークにきて自分の番組向けに田母神をインタビューする予定だという。ディナークルーズと講演会にも出席する予定だ。

 参加者にとっては「ハッカビーに会ういい機会になるかもしれない」と、高橋は言う。「先週マイク・ハッカビーと話したが、彼は田母神に会うのをとても楽しみにしていた」と、誇らしげだった。

 田母神のスキャンダルと講演ツアーの話題を詳しく追いかけている「アームチェア・アジア」というブログによれば、田母神の「厳格で歴史修正主義的な見解は日本の自衛隊では逸脱として受け入れられなかったが、本人は今も熱意にあふれ、多くの人の英雄でもある」

 ハッカビーもその一人なのだろうか? 何度もコメントを求めたが、返事は返ってこなかった。

Reprinted with permission from the Cable, 16/12/2009. ©2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国で「南京大虐殺」の追悼式典、習主席は出席せず

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット

ビジネス

アングル:トランプ関税が生んだ新潮流、中国企業がベ

ワールド

アングル:米国などからトップ研究者誘致へ、カナダが
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 6
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 9
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中