最新記事

家族

「ポリアモリー」という生き方──複数のパートナーがいても、子育てはちゃんとできる

“I’m a Polyamorous Parent”

2022年12月16日(金)13時38分
ジェシカ・レビティ(デジタルメディアプロデューサー)
ジェシカ・レビティ

ポリアモリーを実践して幸せだったと言う筆者(第2子妊娠の頃) TIMMY ROBB 2021

<全員の同意を得て複数と関係を結ぶ「ポリアモリー」が、何かを諦める必要のない大いなる自由に導いてくれた>

私と婚約者が友人たちと食事をしていたときのこと。友人の1人が「あなたたちはポリアモリーを考えたことはないの?」と聞いてきた。ポリアモリーとは、関与するパートナー全ての合意を得て、複数のパートナーと親密な関係を結ぶことをいう。

婚約者とは4年の付き合いで、数カ月後に結婚する予定だった。しかしその瞬間、体中に電気が走ったような気がした。私は自分がポリアモリー主義者なのだと悟った。

私はクィア(性的少数派)なので、願望を全て満たしてくれるタイプの人などいないと思っていた。ポリアモリーなら、人生で経験したいことを何一つ諦める必要がない。

婚約者は少々おじけづいていた。私たちの関係はどうなるのか、誰かが自分の代わりになるのかと恐れていた。その時点で私たちは何も決めず、2013年に結婚した。

数カ月後、私はある人に出会い、ものすごく好きになった。だから夫に、こう言わざるを得なかった。「私はこういう人間で、こうしたい。駄目なら、私たちの関係を見直す必要がある」

夫はやむなく同意した。私に強制されたとは言わなかったが、暗い廊下を引きずられるみたいだ、と表現した。

私たち夫婦は「キッチンテーブル・ポリアモリー」という形を取っている。お互いのパートナーも含めて、みんながキッチンテーブルで食事を一緒にできるくらい親しいという関係だ。夫は家の中で私のパートナーのそばにいることが多いし、私は夫のパートナーととても仲がいい。

嫉妬に苦しんだ日々も

1歳半と4歳半になる子供がいなければ、私たち夫婦のライフスタイルは全く異なっていただろう。1人目の子を妊娠したとき、夫と私は既に5年にわたりポリアモリーを実践していたが、大きな問題はなかった。しかし2人目のときは、夫が新しいパートナーと出会ったばかり。それが彼にとって初めての非常に強い関係だったため、いくつか問題が起こった。

妊娠中のホルモンの影響もあり、私は激しい嫉妬に苦しんだ。それでも私たちは共に事態を把握していたから、2人目の子の妊娠期間を謙虚な姿勢で美しい時間にできた。

私たち夫婦は、健全な家族関係を維持しながら、お互いができるだけ自分らしくいられるように心掛けてきた。そのために「自律の時間」を設けている。「親」や「パートナー」という役割を離れ、好きなことをやっていい時間だ。その時間は聖書の勉強会であれ、乱交パーティーであれ、何をしても互いに気にしない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 10

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中