最新記事
教育

スタンフォードにハーバード、超名門大学が続々「テイラー・スウィフト研究」科目を開講するワケ...「軽薄」批判も

Collegiate Swifties Rejoice

2024年2月16日(金)19時24分
アリス・コリンズ

「大物スター」をつくるテクニックを解明

Taylor Swift poses with fans at the 2019 MTV Video Music Awards at Prudential Center on August 26, 2019 in Newark, New Jersey

スウィフトが世代や性別を超えて支持される理由は共感にある KEVIN MAZURーWIREIMAGE/GETTY IMAGES

「スウィフトは商業的に大きな成功を収めると同時に、アーティストとしても進化してきた。伝統的な学術研究とポップカルチャーの研究を結び付ける最高の存在だと思う」と、ハリアントは言う。

「彼女のような『大物』を生み出すテクニックを解明することにも意義がある。スウィフトのマーケティングやビジネス戦略、世界中で共感を呼ぶスキルは、学生が就職したとき役に立つだろう」

かつてのレーベルで発表した楽曲の原盤権をめぐる争いであれ、最新のツアーを世界的なパーティーにするという企画であれ、スウィフトのキャリアを学べば、学生たちが将来どんな仕事に就いても役に立つだろう。

「既成概念にとらわれない思考を促す科目を履修したことは、就職活動でもプラスになるはずだ」と、ハリアントは語る。「複雑化する現代の職場は、多面的な視野を持つ従業員を求めている。ユニークなカリキュラムを通してそうした視点を得られる」

スウィフトは、Z世代(おおむね1997~2012年生まれ)を中心に、働き盛りのミレニアル世代(同1981~96年生まれ)やX世代(同65~80年生まれ)、さらにはベビーブーム世代(同46~64年生まれ)の一部にまで愛されている数少ないアーティストの1人だ。

ほぼ無名のカントリー歌手としてスタートしたスウィフトが、どうやって世界的なスターとなり、2023年には音楽配信大手スポティファイで最も再生された(全世界で261億回以上)アーティストになったのか。

カギは勢いだと、さまざまな企業のマーケティング戦略の文化的側面についてコンサルティング活動をするアナリサ・ナッシュ・フェルナンデスは語る。「スウィフトは若手女性カントリー歌手というニッチな分野からスタートし、新しいトレンドやサウンドを戦略的に取り入れながら巨大なファン層を築いてきた」

テイラー研究は就職活動でもプラスに?

スウィフトがこれほど多くの世代に支持される理由の1つは共感しやすさだと、フェルナンデスは指摘する。男性中心の業界で女性として活躍する難しさや、体形についての葛藤、恋人や女友達との関係など、スウィフトのあらゆる経験がファンの共感を呼ぶ。だから世代やジェンダーを超えた支持を集めているのだと、フェルナンデスは言う。

バークレー校に設けられたような科目についても、「現代社会でエンゲージメントを最大化する方法を学ぶ上で、スウィフトは完璧なケースになる」と高く評価する。「社会学、人類学、ジェンダー研究、メディア研究、経営などさまざまな要素が含まれる」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

IMFがドイツに「債務ブレーキ」緩和を提言、財務省

ワールド

スリランカ中銀が金利据え置き、数カ月で物価上昇率は

ワールド

岸田首相、中国共産党幹部と会談 安定的関係へ「対話

ビジネス

韓国サムスン電子の労組、ストライキ実施を宣言
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲームチェンジャーに?

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    メキシコに巨大な「緑の渦」が出現、その正体は?

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    汎用AIが特化型モデルを不要に=サム・アルトマン氏…

  • 6

    プーチンの天然ガス戦略が裏目で売り先が枯渇! 欧…

  • 7

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 8

    なぜ「クアッド」はグダグダになってしまったのか?

  • 9

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 10

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中