最新記事

世界に挑戦する日本人20

アメリカを沸かせたジャニーズJr.! Travis Japan「実力勝負の場で自信も付いた」

2022年9月6日(火)18時41分
八木橋恵(ロサンゼルス在住ライター)、大橋 希(本誌記者)

magSR202209travisjapan-2.jpg

「ワールド・オブ・ダンス」に参戦したTravis Japanのメンバー WORLD OF DANCE

パフォーマンスも佳境に差し掛かり、川島がアクロバティックに宙を舞うと観客たちは一斉に歓声を上げた。メンバーそれぞれのカラーをあしらった扇子がステージを乱舞し、華麗なパフォーマンスは幕を閉じた。

最前列にひしめく日本人ファンだけでなく、トラジャを知らないであろう人たちの心をも、彼らがとらえたことは一目瞭然だった。

後日、東京からのリモート取材に答えて宮近は「日本というより、ジャニーズというより、Travis Japanが生み出すエンターテインメントを表現していきたい。僕らのカラーを世界に広げていくにはどうしたらいいかを考えながら、日々トレーニングやパフォーマンスをしている」と語ったが、その情熱が人種や文化の垣根を越えて人々を魅了した。

会場がモールのため、ダンサーや出演者の控え室は駐車場の一部に設けられていた。トラジャの出番あたりにはスタンバイする彼らを見ようと付近に人が集まっていたが、その中に一見違った人がいた。

声を掛けると、「(トラジャが)ダイスキデス」と片言の日本語で返事があった。Iさんは、コロラド州から来た大会出場者の1人。18歳の彼女は中学生ぐらいからゲームやアニメ、マンガを通じて日本が好きになり、YouTubeで世界中のダンス動画を見るうちにトラジャを知ったという。

「彼らのダンスはいつも魅力的。全員のタイミングのそろえ方、リズムの取り方が最高だ。私のチームはもっと人数が多く、あんなにそろえることはできない」

彼らは6人だからできるのでは?

「6人だろうと、15人だろうとそれぞれがちゃんとリズムを取り、その上でタイミングを合わせることがいかに難しいか、ダンス経験者なら分かると思う。しかも普段の彼らは歌いながらあのレベルのダンスをこなす。信じられない!」と彼女は言い、移動していく彼らを名残惜しそうに見つめた。

「私のチームメイトを含め、ダンスをやっている人はみんなトラジャを知っています! 彼らのダンスはいい、彼らはすごいってみんな言ってる」

この日、トラジャはUSA部門を4位通過。翌日の国際大会では9位という成績を収め、観客賞も受賞した。

ジャニーズのTravis Japanだと特別視されない場所での「世界への初挑戦」だったが、逆に本当に価値があるものは特別視されることを、強豪ダンサーたちと競いながらさりげなく、華やかに証明してみせた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動

ビジネス

必要なら利上げも、インフレは今年改善なく=ボウマン

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中