zzzzz

最新記事

人生を変えた55冊

『嫌われる勇気』に『Winning Edge』エディー・ジョーンズが戦い方を学んだ良書

2020年8月14日(金)17時40分
エディー・ジョーンズ(ラグビー・イングランド代表監督)

DAN MULLAN/GETTY IMAGES

<かつて日本代表を率いたエディー・ジョーンズは「時間の余裕があるときに貪るように読書する」と言う。ラグビーの指導を目的に本を選ぶことが多く、体が小さい日本人の戦い方も、ある本にヒントを得た。本誌「人生を変えた55冊」特集より>

この仕事をしていると、読書の時間をたっぷり取れる時期もあるけれど、大会期間中は難しい。そのため、時間の余裕があるときに貪るように読書する傾向がある。
2020081118issue_cover200.jpg
私は仕事中心の日々を送っているので、ラグビー指導者としてのパフォーマンスを高める目的で本を選ぶことが多い。ただし、そのまますぐに実践できる方法論を学ぶというより、基本的な考え方を学びたいと思っている。

いつもデスクに置いてある本がいくつかある。そのうちの1つが『ウィニング・エッジ』(邦訳なし)だ。何らかの状況に対処する方法を学びたければ、この本を読めばいい。この点では、最近あるコーチと話していて意見が一致した。


『ウィニング・エッジ』
 ドン・シュラ[著]
 E・P・ダットン(邦訳なし)

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

良書とはそういうものだが、この本の有用性は時間がたっても失われていない。今は絶版だと思うが、コーチング本の決定版と言えると思う。

人間の心理に関する本もよく読む。面白くて、いくつか教訓も引き出せるような本が好きだ。例えば、マルコム・グラッドウェルの『逆転!』には刺激を受けた。人生に対する見方が根本から変わるような一冊だ。


『逆転!』
 マルコム・グラッドウェル[著]
 邦訳/講談社

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

小さな少年のダビデが工夫して巨人を倒す物語は、(私が監督を務めた)ラグビー日本代表にも参考になるものだった。私たちはワールドカップで、ほかの国の体格のいい選手たちと戦わなくてはならなかった。以前は、そうした体格の違いが言い訳になっている面があった。「日本人は体が小さいから、勝てるわけないよ」と。この本は、正しい戦略を実行すれば勝てるのだと教えてくれた。

最近はオーディオブックも利用している。毎朝、聴きながら45分間トレーニングをする。『カブス・ウェイ』(邦訳なし)も耳で聴いた。2016年に100年以上ぶりにワールドシリーズを制覇した大リーグのシカゴ・カブスに光を当てた本で、チームづくりに関する素晴らしい知恵が詰まっている。


『カブス・ウェイ』
 トム・バードゥッチ[著]
 スリーリバープレス(邦訳なし)

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

このときカブスは、データ分析を重んじる一方で、人間をよく知っているベテラン監督のジョー・マドンを起用した。彼は就任早々、リトルリーグのような基礎練習を取り入れた。選手たちは最初は疑問を持ったが、おかげで基礎的なプレーの質が向上した。

スポーツチームで高いパフォーマンスを引き出すためには、プレーヤーが互いを信頼し、共通の目的を抱くよう促さなくてはならない。マドンは基礎練習を課すことにより、それを成し遂げたのだ。

【関連記事】日本初のアフリカ人学長が「価値観」を揺さぶられた5冊の本

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾との平和的統一の見通し悪化、独立「断固阻止」と

ワールド

北朝鮮、韓国に向け新たに600個のごみ風船=韓国

ワールド

OPECプラス、2日会合はリヤドで一部対面開催か=

ワールド

アングル:デモやめ政界へ、欧州議会目指すグレタ世代
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「肖像画ドレス」で歴史に名を刻んだ、プリンセス御用達

  • 3

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...すごすぎる日焼けあとが「痛そう」「ひどい」と話題に

  • 4

    ウクライナ「水上ドローン」が、ロシア黒海艦隊の「…

  • 5

    ヘンリー王子とメーガン妃の「ナイジェリア旅行」...…

  • 6

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 7

    ロシアT-90戦車を大破させたウクライナ軍ドローン「…

  • 8

    1日のうち「立つ」と「座る」どっちが多いと健康的?…

  • 9

    米女性の「日焼け」の形に、米ネットユーザーが大騒…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 4

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 5

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 6

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 7

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 8

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 9

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中