最新記事

キャリア

AI時代に「超高収入」ファイナンスの専門職は生き残れるか

2017年9月26日(火)16時51分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Rawpixel-iStock.

<AI(人工知能)時代になると、どんな仕事の成果が求められるようになるのか。M&Aや投資など、ファイナンスの技術を用いて意思決定を行う専門職にも影響は及ぶのだろうか>

昨今、「AI(人工知能)に奪われる仕事」が話題となり、メディアでもよく取り上げられる。ウエーターや工場労働者、事務員、販売員、トラック運転手だけでなく、ほとんどあらゆる業種・職種に影響が及びそうだと予測されている。

M&Aや投資など、ファイナンスに携わる専門職はどうだろう。それを考えるヒントは、AI時代になると、どんな成果が求められるようになるかという点にありそうだ。

ファイナンスに関わる業種は「超高収入」だ。それは、お金を右から左に流すだけの、いわゆる「マネーゲーム」ではなく、ファイナンスという技術を用いて大きなお金に関わる意思決定を行い、他の企業より大きな影響力をビジネスの世界に及ぼしているからだと、正田圭氏は説明する。

1986年に生まれ、15歳で起業。M&Aの最前線で活躍する若き実務家である正田氏は、このたび『ファイナンスこそが最強の意思決定術である』(CCCメディアハウス)を上梓。ファイナンスの専門職や、企業の財務部、経理部、経営企画室に属する人に限らず、あらゆるビジネスパーソンに向けて、ファイナンスを習得し質の高い意思決定を行うための術を伝授している。

正田氏の持論は、「意思決定を伴わないファイナンスに価値はない。ファイナンスを伴わない意思決定も同じである」というもの。ここでは本書から一部を抜粋し、3回に分けて掲載する。第1回は「1章 ビジネスキャリアを加速させる秘訣はファイナンスにあり」より。

◇ ◇ ◇

AI時代に求められるたったひとつのこと

 ファイナンスを扱う業種が「超高収入」になった背景には、科学技術やコンピュータなどの目まぐるしい進歩に合わせて、人々の働き方が劇的に変化したことがあるのは間違いありません。

 数年前、英オックスフォード大学でAI(人工知能)の研究を行うチームが「雇用の未来」という論文を発表しました。

 この論文は、手先の器用さ、芸術的な能力、交渉力、説得力など、コンピュータ化の障壁となり得る仕事特性を抽出して702の職種を評価し、「今後、10年から20 年程度の期間で、約47%の仕事が機械によって自動化される」と予言したのです。

 この予言が産業界を驚かせたのは、これまで人間にしかできないと思われた仕事さえもが「消える仕事」として指摘されていたからです。

 目につくところで挙げていくと、会計士、銀行の融資担当者、不動産ブローカー、保険の審査担当者、苦情の処理・調査担当者など。

 こうした仕事が機械にとって代わられるということは、技術の進歩がそれだけ速くなっていることの証しなのでしょう。

 ビジネスパーソンに求められるビジネスの成果にも、大きな変化が訪れています。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

訂正-ポーランドのトゥスク首相脅迫か、Xに投稿 当

ビジネス

午前の日経平均は反落、前日の反動や米株安で

ビジネス

中国新築住宅価格、4月は前月比-0.6% 9年超ぶ

ワールド

北朝鮮技術者が身元偽り米企業でリモート勤務、支援の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇跡とは程遠い偉業

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 6

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 7

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 8

    半分しか当たらない北朝鮮ミサイル、ロシアに供与と…

  • 9

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 10

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中