ダイキンに学ぶ、事業成長とSDGs達成の両立──カギは「サブスク」と「スタートアップ」
GROWTH, SDGS, AND SUSTAINABILITY
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<世界が持続可能な成長をするためには経営とSDGsの両立が欠かせない。技術力とアイデアで環境負荷軽減を目指す空調大手ダイキンのチャレンジ>
今や世界中の企業にとって、経営戦略に取り込むことが必須となったSDGs(持続可能な開発目標)。2030年までに達成すべき17の目標は貧困撲滅からジェンダー平等、技術革新まで幅広く、途上国も先進国も課題に取り組むことが求められている。
15年にSDGsを採択した国連は毎年、世界各国の目標達成度を発表しているが、22年ランキングで上位を占めたのは1位フィンランド、2位デンマーク、3位スウェーデンといずれも北欧諸国だ。日本は163カ国中19位と悪くないが、「ジェンダー平等」「つくる責任、つかう責任」「気候変動対策」など6つの目標で最低評価(「深刻な課題がある」)を付けられている。
持続可能な未来を考えるとき、緊急度が高いのは気候変動対策だろう。その要となるのが温室効果ガスの削減。この問題にさまざまな観点から取り組んでいるのが、170以上の国・地域で事業を展開するグローバル企業で、エアコンなど空調機の売上高で世界トップのダイキン工業だ。
冷媒の確実な回収目指し
人々の暮らしに欠かせないエアコンだが、全世界の電力の1割を使用しているといわれ、結果的に多くの二酸化炭素(CO2)を排出している。また、エアコンに使われる冷媒(代替フロン)にはCO2の数百~数千倍もの温室効果がある。
電力消費の抑制という課題に、ダイキンは省エネ技術の推進で答える。モーターの回転速度を制御するインバーター技術、空気中の熱を集めて移動させるヒートポンプ技術――日本では一般的だが海外ではまだまだという技術を広く普及させることで、CO2削減を目指す。
冷媒に関して重点を置くのは再生・回収率の向上だ。16年のモントリオール議定書キガリ改正(現在148カ国が批准)で温暖化対策の一環として、代替フロンの生産・消費量の削減が義務付けられた。これにより将来、冷媒が不足することも考えられ、「環境影響の少ない冷媒に切り替えること」「冷媒をきちんと回収して再生すること」を業界は迫られている。
現在、国内における業務用空調機の冷媒の回収率は40%ほどとされており(それでも世界トップレベルだが)、それを究極的には100%に上げたいとダイキンは考えている。ハードルは非常に高いが、「エアコン本体と冷媒の両方を生産する、世界で唯一の企業として大きな使命感を持っている」と、コーポレートコミュニケーション室広報グループの安部貴史は言う。