最新記事

イタリア独禁当局がマクドナルド調査へ フランチャイズ契約巡り、世界売上高10%相当の罰金の恐れ

2021年8月10日(火)11時42分
マクドナルドのロゴ

イタリアの独占禁止当局である競争・市場保護委員会(AGCM)が、米ファストフード大手マクドナルドの調査に着手する。写真は同社ロゴ、2019年10月、米NYで撮影(2021年 ロイター/Shannon Stapleton)

イタリアの独占禁止当局である競争・市場保護委員会(AGCM)が、米ファストフード大手マクドナルドの調査に着手する。フランチャイズ経営者との契約条件をめぐり、複数の苦情を受けたため。ロイターが閲覧したAGCMの文書で9日、明らかになった。

マクドナルドがイタリアの独占禁止の規則に違反した場合、世界の売上高の最大10%が罰金として科せられる恐れがある。

AGCMはコメントを控えた。マクドナルドのイタリア法人は「事業内容の正当性を確信している」と述べ、当局の調査に協力する考えを示した。同社の2020年売上高は192億ドル。

AGCMは4日付の文書で、入手可能な情報を基にすると、店舗経営者とマクドナルドの間には経済的な依存関係が存在するようだと指摘。フランチャイズの取り決めに関するマクドナルドの条項の一部は、経済的依存の乱用にあたるとして調査に着手すると述べた。

AGCMは、価格や販促、株式、供給と購入、財務管理といった一般的で拘束力のある一連の条項が、違反行為を構成しているとみなされる可能性があるとの見解を示した。

独占禁止法では、不当な負担を強いる、もしくは差別的な契約条件を通じて、企業が契約相手の企業による経済的依存を悪用することが禁じられている。

マクドナルドにとって、フランチャイズは重要なビジネスモデル。イタリア国内で展開する615店舗のうち、85%はフランチャイズが運営している。

文書によると、マクドナルドのフランチャイズを運営する3社が3月、家賃やロイヤルティー、投資規模と販売政策に関してAGCMに苦情を寄せた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・韓国・台湾のマクドナルドにサイバー攻撃 一部個人情報が流出
・マクドナルドも熱い視線送る「昆虫農場」 世界のタンパク質危機を救うか
・マックフライに使う物質で毛髪再生に大成功


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ソニー、米パラマウントに260億ドルで買収提案 ア

ビジネス

ドル/円、152円台に下落 週初から3%超の円高

ワールド

イスラエルとの貿易全面停止、トルコ ガザの人道状況

ワールド

アングル:1ドルショップに光と陰、犯罪化回避へ米で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中