最新記事

日本企業

モノ言う株主の米バリューアクト、1200億円規模の任天堂株保有「世界のデジタルメディアサービス最大手に成長期待」

2020年4月22日(水)09時07分

米アクティビスト(物言う株主)のバリューアクト・キャピタル・マネジメントは投資家向けのレターで、11億ドル超に相当する任天堂株を保有していると明らかにした。写真は任天堂の人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」。(2020年 任天堂提供)

米アクティビスト(物言う株主)のバリューアクト・キャピタル・マネジメントは投資家向けのレターで、11億ドル超に相当する任天堂株を保有していると明らかにした。ロイターがレターを閲覧した。エンターテインメント企業としての今後の成長に期待感を示した。

同レターによると、バリューアクトは2019年4月に任天堂株を取得し始め、新型コロナウイルス感染拡大を背景に株式相場が急落した今年2月と3月に保有株を増やした。

レターでは、任天堂の将来は明るいと指摘し、ソフトウエア事業の潜在成長力を評価したほか、同社は総合的なエンターテインメント企業に生まれ変わる余地があるとした。

米国で店頭取引されている任天堂の米預託証券(ADR)は一時5.7%上昇した。同社からコメントは得られていない。

サンフランシスコを本拠地とするバリューアクトは、任天堂の経営陣と複数回にわたり面会したと明らかにし、同社の古川俊太郎・最高経営責任者(CEO)がバリューアクトなどに示したビジョンを信頼していると表明。バリューアクトは他の投資会社とは異なり、投資先の企業に公に変革や取締役の交代を求めることはせず、水面下で経営陣と話し合う手法を取る傾向にある。

バリューアクトはレターで、同社のパートナーには米アドビや米マイクロソフトの取締役経験者がいるため、任天堂に適切な助言を与えることが可能だとした。取締役の指名に関する要求は示さなかった。

バリューアクトは、パートナーのロブ・ヘイル氏を昨年、オリンパスの取締役会に送り込み、数週間前にはJSRの株式7%を取得した。任天堂は日本での投資案件としては3社目。

同社はレターで、任天堂は米ゲームソフト大手のエレクトロニック・アーツ(EA)やアクティビジョンほどの好業績を上げていないが、現在進めているデジタルシフトが奏功するはずだと指摘。また、「任天堂が将来、ネットフリックスやディズニー+(プラス)、テンセント・インタラクティブ・エンターテインメント、アップル・ミュージックなどと肩を並べ、世界のデジタルメディアサービス最大手の一角を占めると考えている」とした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・「ストックホルムは5月には集団免疫を獲得できる」スウェーデンの専門家の見解
・日本がコロナ死亡者を過小申告している可能性はあるのか?
・アメリカの無関心が招いた中国のWHO支配
・シンガポール、新型コロナ感染1日で1426人と急増 寮住まいの外国人労働者間で拡大


20200428issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月28日号(4月21日発売)は「日本に迫る医療崩壊」特集。コロナ禍の欧州で起きた医療システムの崩壊を、感染者数の急増する日本が避ける方法は? ほか「ポスト・コロナの世界経済はこうなる」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、16-17日に訪中 習主席との関係

ビジネス

インフレ低下の確信「以前ほど強くない」、金利維持を

ワールド

EXCLUSIVE-米台の海軍、4月に非公表で合同

ビジネス

米4月PPI、前月比0.5%上昇と予想以上に加速 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プーチンの危険なハルキウ攻勢

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 10

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中