最新記事

世界経済

世界銀行、新型コロナウイルス対応に120億ドルの支援「迅速な対応不可欠」

2020年3月4日(水)08時20分

世界銀行は3日、新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けている国に対し 総額120億ドルの支援を直ちに実施すると発表した。インドネシアのバリ島で2018年10月撮影(2020年 ロイター/Johannes Christo)

世界銀行は3日、新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けている国に対し、総額120億ドルの支援を直ちに実施すると発表した。

マルパス世銀総裁は、新型ウイルスについて「未知な部分が多い」とし、「より多くの支援」が必要になる可能性があると指摘。感染者の命を救うために広範で迅速な対応が必要不可欠になっているとし、各国に対し地域的、国際的な調整を行うよう呼び掛けた。

多くの国からすでに支援の要請を受けていることを明らかにしたが、具体的な国名を挙げることは控えた。

マルパス総裁は電話会見で「各国の目下の資金需要に応じると同時に危機の影響を軽減するため、第1弾として最大120億ドルの支援策を発表する」と述べ、「迅速な対応が鍵であり、人命を救うにはスピードが必要だ」と強調した。

また「はるかに多くのリソースが必要になり得るシナリオもある」とし、「必要に応じて方針とリソースを調整する」と述べた。

医療制度の弱い貧困国が最も脆弱(ぜいじゃく)だとしたうえで、エボラ出血熱など過去の事例を踏まえると、適切な措置を迅速に講じることで感染拡大を抑制し、人命を救うことが可能だと指摘。

低利融資などを通じた120億ドルの支援策により、発展途上国は医療サービスの提供や感染状況の監視、公衆衛生上の対応を改善できるとともに、民間と連携することで経済への影響を緩和できるとした。

当局者によると、120億ドルのうち約40億ドルは世銀の他のプログラムから振り向ける。

マルパス総裁はまた、貿易を一段と制限するような措置をとらないようくぎを刺した。

世銀によると、各国が感染抑制に必要な物資の調達を急ぐ中、世銀グループの国際金融公社(IFC)が貿易金融や運転資金枠の拡大に向けて商業銀行と連携する。

IFCは医療機器や医薬品など戦略的セクターの企業とも協力し、サプライチェーンの機能維持や下振れリスク抑制に取り組む。  

*内容を追加しました。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・一斉休校でわかった日本人のレベルの低さ
・中国人全面入国規制が決断できない安倍政権の「国家統治能力」
・新型コロナウイルス、感染ショックの後に日本を襲う4つの最悪シナリオ


20200310issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月10日号(3月3日発売)は「緊急特集:新型肺炎 何を恐れるべきか」特集。中国の教訓と感染症の歴史から学ぶこと――。ノーベル文学賞候補作家・閻連科による特別寄稿「この厄災を『記憶する人』であれ」も収録。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-イスラエル、ガザ南部で軍事活動を一時停止 支

ワールド

中国は台湾「排除」を国家の大義と認識、頼総統が士官

ワールド

米候補者討論会でマイク消音活用、主催CNNが方針 

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年1月以来の低水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「珍しい」とされる理由

  • 2

    FRBの利下げ開始は後ずれしない~円安局面は終焉へ~

  • 3

    顔も服も「若かりし頃のマドンナ」そのもの...マドンナの娘ローデス・レオン、驚きのボディコン姿

  • 4

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開する…

  • 5

    米モデル、娘との水着ツーショット写真が「性的すぎ…

  • 6

    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…

  • 7

    なぜ日本語は漢字を捨てなかったのか?...『万葉集』…

  • 8

    メーガン妃「ご愛用ブランド」がイギリス王室で愛さ…

  • 9

    水上スキーに巨大サメが繰り返し「体当たり」の恐怖…

  • 10

    サメに脚をかまれた16歳少年の痛々しい傷跡...素手で…

  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 4

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 5

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 6

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 7

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…

  • 8

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 9

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 10

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 4

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 5

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 6

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 9

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中