zzzzz

最新記事

ビジネス

サブスク化できないものはあるのか? 多方面に広がる定額使い放題の波、既存企業はどうすべきか

2019年11月15日(金)13時20分
久我 尚子(ニッセイ基礎研究所)

サブスク流行の背景には消費者の価値観変化が Tero Vesalainen-iStock

<消費者ニーズが「所有」から「利用」へと移ることによって拡大してきたサブスク市場。生き残りをかけた企業のとるべき対策とは>

広がるサブスクリプションサービス、モノだけでなくサービスも定額制

近年、消費市場では「所有から利用へ」という流れが加速している。これまでは所有することが常識だったモノでも、月額定額料金で使い放題になるサブスクリプションモデルが広がっている。あらためて市場を見渡すと、自動車や家具、家電製品、ファッション(スーツや普段着、バッグ、アクセサリー)、本・雑誌・漫画、ゲーム、音楽、映画・ドラマ・TV番組、おもちゃなど、生活に関わる商品の至るところにまで「サブスク」の波が押し寄せている。

また、モノだけでなくサービスにもサブスク化は広がっている。月額定額で美容院でシャンプーやブローし放題、カフェでコーヒー飲み放題、居酒屋でアルコール飲み放題、英会話レッスン受け放題、動画配信で予備校の講義聴き放題など、各領域でサブスク化が見られる。

なお、サブスクの多くは月額数千円以内で割安な印象が売りだ。しかし、月額数万円で高級腕時計やアクセサリー、高級レストランを利用し放題といった高級志向の消費者に向けたサービスもある。

また、サブスクは基本的にBtoCモデルだが、シェアリングエコノミーの登場によって、CtoBtoCモデルも浸透しつつある。事業者が提供するネット上のプラットフォームを利用すれば、個人間でモノやスペースなどの貸し借りも容易だ。例えば、高級ブランドバッグのサブスクを展開するラクサスでは、バッグを借りるだけでなく、貸すことで利用料が得られるサービスも提供している。

サブスクが多方面に広がる中で、既存のモノづくり企業が自らサブスクへ参入する動きもある。例えば、トヨタはカーシェアを、紳士服のアオキはビジネスウェアのレンタルサービスを始めている。

一方で、もし、サブスク化できないモノやサービスがあるとすれば、それは何だろうか。つまり、所有せずには使えないモノ、あるいは、定額制では提供できないサービスはあるのだろうか。実は、これは日ごろ消費者行動を分析している立場として、よく尋ねられる問いだ。消費生活においてサブスク化できないものはおおむね無いだろう、というのが私の意見だ。むしろ、既存企業が生き残るためにはサブスク(あるいはシェア)と上手く共存する必要がある。

それは、消費者の価値観が変化していること、そして、デジタル化が急速に進展しているためだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾との平和的統一の見通し悪化、独立「断固阻止」と

ワールド

北朝鮮、韓国に向け新たに600個のごみ風船=韓国

ワールド

OPECプラス、2日会合はリヤドで一部対面開催か=

ワールド

アングル:デモやめ政界へ、欧州議会目指すグレタ世代
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「肖像画ドレス」で歴史に名を刻んだ、プリンセス御用達

  • 3

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...すごすぎる日焼けあとが「痛そう」「ひどい」と話題に

  • 4

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 5

    ウクライナ「水上ドローン」が、ロシア黒海艦隊の「…

  • 6

    1日のうち「立つ」と「座る」どっちが多いと健康的?…

  • 7

    ヘンリー王子とメーガン妃の「ナイジェリア旅行」...…

  • 8

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 9

    「娘を見て!」「ひどい母親」 ケリー・ピケ、自分の…

  • 10

    中国海外留学生「借金踏み倒し=愛国活動」のありえ…

  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「肖像画ドレス」で歴史に名を刻んだ、プリンセス御用達

  • 3

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲームチェンジャーに?

  • 4

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 5

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 6

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 7

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 8

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 9

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 10

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中