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テスラ株急落でも、マスクの新党立ち上げが「負け戦」ではない訳

マスクは新政党「アメリカ党」の結党を発表したが…… ALGI FEBRI SUGITAーZUMA PRESSーREUTERS
<イーロン・マスクの新ベンチャー「アメリカ党」は共和党にとって深刻な脅威...テスラ株は急落したが、世界一の大富豪は勝算ゼロの戦には挑まない>
自信家の大富豪が自分ならアメリカ政治の長年にわたる常識を覆し、二大政党以外の政党を成功させられると考えるのは、珍しいことではない。
この四半世紀の間にも、スターバックス元会長のハワード・シュルツ、金融ニュースサービスのブルームバーグ創業者で元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ、そしてドナルド・トランプといった面々が第3党もしくは無所属で大統領の座を目指そうとしたが、共和党と民主党の牙城を崩すことはとうていできなかった(トランプは2000年に「改革党」からの大統領選出馬を目指したが、選挙戦の早い段階で撤退した)。
そうしたなかで、1992年に独立系候補として大統領選に挑んだロス・ペローは健闘したと言えるだろう。選挙戦序盤では、共和党のジョージ・ブッシュ(父ブッシュ)と民主党のビル・クリントンをリードし、本選挙でも19%の票を獲得した。
大統領選で最も成功した第3党運動としては、1912年のセオドア・ルーズベルトの例を挙げることができる。元大統領のルーズベルトは共和党の候補者指名を獲得できず、新しい政党「進歩党」の候補者として強力な選挙運動を展開した。それでも、最終的には大差の2位に終わった。
先頃、世界一の資産家であるイーロン・マスクが「アメリカ党」という新しい政党を結成すると発表した。昨年の大統領選でトランプを勝たせるために莫大な富をつぎ込んだ起業家が、トランプの政治路線に真っ向から異を唱えたのだ。