コラム

ついに学生向けも。23区内に続々登場するwithコロナ対応賃貸マンションの斬新さ

2022年08月30日(火)14時41分

浴室と洗面所のスペースを節約し、その分居室面積を拡大させることができるもので、従来7畳ほどだった1K住戸の居室空間を9.3畳に拡大させることが可能という。

2.3畳分のスペースが増えることで、デスク、椅子、書類棚などを設置しやすい。つまり、在宅ワークやリモート授業に対応しやすくなるわけだ。

以上2物件は、大学生でも借りることができるが、メインターゲットとなるのは社会人の単身者である。

これに対し、一部の棟を明確に「学生向け」とする大規模賃貸マンションがこの2月、23区内に完成した。

「マンションのことなら〜」のテレビCMで知られる長谷工グループが運営する「コムレジ赤羽」だ。その工夫は、さらに進んでいる。

カフェテリアの食事は平日朝夕で1ヶ月2万2000円

「コムレジ赤羽」は東京都北区に建設され、総戸数は340戸。賃貸マンションとしては極めてスケールが大きい。参考までに、分譲マンションでは総戸数が200戸を超えると「大規模」と呼ばれることが多くなる。

sakurai20220819160704.jpg
JR京浜東北線と埼京線が利用できる赤羽駅から徒歩8分の住宅エリアに完成した「コムレジ赤羽」。筆者撮影

340戸は学生棟(112戸)、社会人棟(168戸)、賃貸棟(60戸)の3つの棟に分けて中庭を望むように配置。学生棟と社会人棟は、キッチンと洗濯機置き場を住戸内に設置せず、住戸内をフルに活用できるプランニングだ。

キッチンは各フロアに設けられる「キッチン付きシェアルーム」を使用する。

sakurai20220819160705.jpg
学生棟に設けられた「キッチン付きシェアルーム」。各フロアに1カ所設けられ、共用のリビングとして使うことができる。筆者撮影

ほかに、中庭に面したカフェテリアで食事することもでき、学生棟居住者は平日朝夕食利用で月額2万2000円を家賃とは別に支払えばよい。学生以外でも利用できる単独メニューもあり、こちらは朝食600円程度、夕食800円程度をそのつど支払う。

sakurai20220819160706.jpg
中庭を望むカフェテリアは、社会人棟、賃貸棟の居住者も利用できる。無料のお茶も飲める。筆者撮影

洗濯は各フロアに配置されているランドリールームを利用。コインランドリーのような施設だが、洗濯乾燥機は無料で使用できる。

sakurai20220819160707.jpg
各フロアに設けられたランドリールーム。写真ではコイン投入口があるが、無料で利用できるため、投入口は塞がれる予定だ。筆者撮影

ほかに、コミュニティラウンジやフィットネスルーム、ゲストルーム(親が泊まることができる)などが共用部に設けられている。

カフェテリアやフィットネスルームを大勢で利用したら、「密」が心配になる。そこで、「コムレジ赤羽」では、スマホのアプリで共用施設の混雑状況を確認できるようにしている。

「建物環境モニタリング技術(CO2センサーなど)」を採用し、建物内の換気を適正に行うといった最先端技術も備えられる。

密にならない状態で食事や運動ができ、それらを通しての交流の機会と楽しみを残しているわけだ。

プロフィール

櫻井幸雄

年間200件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。・公式サイト ・書籍/物販サイト

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ラファ住民に避難促す 地上攻撃準備か

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、4月も50超え1年ぶり高水準 

ビジネス

独サービスPMI、4月53.2に上昇 受注好調で6

ワールド

ロシア、軍事演習で戦術核兵器の使用練習へ 西側の挑
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story