コラム

大谷翔平の「男気」巨額契約は本当に美談なのか?

2024年01月13日(土)21時15分

プロスポーツの見方を揺さぶる大谷

しかしだ。記事を読み進めると、後払いは「本当に美談なのか?」と思ってしまった。各紙は「ぜいたく税を免れ、大谷もドジャースもメリット」と解説しているが、それって要は、資金力のあるチームがさらに資金をつぎ込めるようにするテクニックを駆使しただけでは? もっと言えば、ぜいたく税が導入された目的である「球団間の戦力差解消」の抜け穴を突いただけではないか?

これを美談として語ることのできる前提は1つある。それは「とにかく勝ちたい」というチームや選手の目的に皆が理解を示せばいいのだ。勝つためにカネを注ぐのは別に悪くないと認めればよい。

となると、今まで日本では選手獲得にカネをかけると「金権野球」「金満球団」と批判されたが、今後はそんな批判は成り立たなくなるのか? 大谷翔平はすごすぎて、スポーツ新聞の論調や私たちのプロスポーツの見方まで揺さぶっている。

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プチ鹿島

1970年、長野県生まれ。新聞15紙を読み比べ、スポーツ、文化、政治と幅広いジャンルからニュースを読み解く時事芸人。『ヤラセと情熱 水曜スペシャル「川口浩探検隊」の真実』(双葉社)、『お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした!』(文藝春秋)、『芸人式新聞の読み方」』(幻冬舎)等、著作多数。監督・主演映画に『劇場版センキョナンデス』等。 X(旧Twitter):@pkashima

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