最新記事
シリーズ日本再発見

岡山・群馬の地方創生は、あの起業家が担っている

2019年08月07日(水)11時30分
井上 拓

ZOZOは千葉、ビズリーチは浜松、ラクスルは富山

岡山、群馬それぞれにアプローチは若干異なるが、経営者個人が陣頭指揮を取り、地域の文化や未来のために投資を行うという点では共通している。地方創生の象徴的なロールモデルであり、ベストプラクティスになりつつある。

「ZOZOの前澤(友作)さんは千葉のために、ビズリーチの南(壮一郎)さんは浜松、ラクスルの松本(恭攝)さんは富山......。20年選手の経営者だけでなく、ベンチャーをはじめとする経営者の中でも、一社一地域のように続々と増えているのが、今の日本だと思います」と、石川さんは言う。

そんな石川さんは、地元の山陽新聞に載ったある中学生からの投書に心が動かされたという。そこにはこう書かれていた。「ストライプインターナショナルのような会社を作ってみたい」

スポーツ選手のように憧れられるような職業になるとは考えていなかったが、起業家や経営者でも、次の時代を担う人たちの、夢になれるということ。それは、田中さんが話してくれた思いとも共通する。

「私のような生き方があってもいい、ということを感じてもらえたら嬉しい。画一的な教育だけではなくて、ワクワクすることに地域でぜひチャレンジしてほしい」

田中さんはまた、とても素敵なことを教えてくれた。「桜は2月からの温度の合計が600度を越えると開花するそうです。地域をよりよくしていこうという情熱を持った人たちが集まり、熱量を帯びていく......」

そして、その熱量が600度を越えたとき、何かが「開花」するのだろう。岡山、群馬、そして日本各地の地方創生は今、何度まで高まってきているのだろうか。

japan_banner500-season2.jpg

2019081320issue_cover200.jpg
※8月13&20日号(8月6日発売)は、「パックンのお笑い国際情勢入門」特集。お笑い芸人の政治的発言が問題視される日本。なぜダメなのか、不健全じゃないのか。ハーバード大卒のお笑い芸人、パックンがお笑い文化をマジメに研究! 日本人が知らなかった政治の見方をお届けします。目からウロコ、鼻からミルクの「危険人物図鑑」や、在日外国人4人による「世界のお笑い研究」座談会も。どうぞお楽しみください。

20240528issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月28日号(5月21日発売)は「スマホ・アプリ健康術」特集。健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メキシコ大統領選集会で舞台倒壊、9人死亡 支持率3

ビジネス

訂正-モルガン・スタンレーのゴーマン会長、年末に退

ワールド

ロシア、国内の米資産を損失補償に充当へ 凍結資産没

ビジネス

ユーロ圏の第1四半期妥結賃金、伸びはやや上昇=EC
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレドニアで非常事態が宣言されたか

  • 2

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決するとき

  • 3

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」...ウクライナのドローンが突っ込む瞬間とみられる劇的映像

  • 4

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 5

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 6

    韓国は「移民国家」に向かうのか?

  • 7

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 8

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 9

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 10

    高速鉄道熱に沸くアメリカ、先行する中国を追う──新…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 10

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中