どの面下げて文句言えるのか、と思った。財政危機に陥っているギリシャのパパンドレウ首相が先週、EU(欧州連合)首脳会議がギリシャ支援で合意したことについて、感謝しながらも合意は遅すぎたと批判したのだ。助けてもらう相手に対して何という不遜な態度だろう。

 さらにパパンドレウは、EUがギリシャの財政悪化の原因をつくった前政権を監視しきれなかったことも批判した(彼は昨年10月の政権交代で首相に就任)。まるで日本の民主党政権の閣僚が、日本の財政悪化の原因をつくった自民党を監視しきれなかったとして有権者を批判するようなものじゃないか。

 でも、ここまで言えるのは彼がタダ者ではないからかもしれない。こんな逸話がある。フィナンシャルタイムズ紙によると、1952年生まれの彼が13歳のとき、軍政下の警官隊が彼の父親を逮捕するため自宅に踏み込んできた。ピストルを頭に突き付けられ、「父親の居場所を教えなければ撃つぞ」と脅されたが、彼は平然と「知らない」と答えたという。

 

 パパンドレウは米ミネソタ州生まれ。ギリシャに初めて来たのが8歳で、いわば帰国子女だ。父も祖父も首相を務めた名門政治家ファミリーに育った。アメリカとイギリスの大学で国際政治や社会学を学んだ国際派でもある。06年から社会民主主義政党の国際組織「社会主義インターナショナル」の議長を務め、世界中に人脈を持つ。自身の個人ウェブサイトは演説や公式行事の話ばかりで面白みはないけれど、ちゃんと英語版もあって外国への発信に力を入れていることが分かる。

 不遜で冷静で国際派のパパンドレウがギリシャ危機をどう乗り切るのか。今後の展開が何だか楽しみになってきた。

──編集部・山際博士

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