コラム

ウクライナ侵攻で膨らむトランプ復活の可能性

2022年03月01日(火)20時45分

ところで、アメリカでは今年秋に議会選挙が行われ、ここでバイデン政権への評価が問われるが、これと並行して2024年大統領選挙に向けたキャンペーンも始まる。そして、大統領復帰を目指すトランプは、すでにその台風の目になっている。

アメリカ大統領選挙の勝敗は資金額によって大きく左右されるといわれるが、トランプの政治団体 'Save America' は昨年だけでオンラインの宣伝に640万ドルを支出している。これは共和党関係者のなかで屈指のレベルだ。

さらに知名度は抜群であるため、立候補を表明すれば有利は固い。気の早いベッティングサイト(賭けのプロモーター)では、すでに2024年大統領選挙が賭けの対象になっているが、そのなかにはトランプがバイデンを抑えて一番人気になっているものもある。

このトランプの勢いは、ウクライナ侵攻でプーチンの存在感が際立つほど、加速するとみられる。だとすると、「プーチンはすごく頭がいい」というトランプの評価には、単に「あのプーチンを抑えていた自分はすごい」という自画自賛以上の意味があるとみられるのである。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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