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「最も高度な政治ゲーム」自民党総裁選のカギを握るあの人物
「最も高度な政治ゲーム」の勝者は? Kimimasa Mayama/Pool--REUTERS
<なぜ野田聖子氏が推薦人20人を集めることができたのか? 野田氏に自派から8人の推薦人を出した二階氏の真意は? 河野氏は1回目の投票で過半数を取れるのか? 「最も高度な政治ゲーム」と呼ばれ、智略と嫉妬渦巻く自民党総裁選の展開を考える>
自民党総裁選が17日に告示され、河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子の4氏が立候補を届け出た。29日の投開票に向けて13日間の総裁選挙がスタートした。
石破茂元幹事長が出馬しなかったことは想定の範囲内だったという人が多いだろうが、それよりも注目を集めたのが野田幹事長代行(無派閥)だ。これまでに過去3回の総裁選で出馬の意欲を表明してきたが、無派閥ゆえに推薦人を20人集めるハードルが高く断念せざるを得なかった。今回は土壇場で立候補にこぎつけたが、その推薦人に二階派(志帥会)所属議員8名が名を連ねていることにちょっとした驚きが走っている。
自民党総裁選は、最初の投票で過半数を得た候補者がいなかった場合、上位2位の候補者による決選投票が行われる。選挙権を有する全国の党員・党友数は110万4336人。1回目の投票では国会議員票383票と同数になるようにドント方式で配分されるが、決選投票では都道府県連票47票に圧縮され、国会議員票の重みが格段に増す。
そのため、各種の世論調査で人気を誇る河野行革相(麻生派=志公会)が勝利するためには、全国の党員党友票の比重が高い1回目の投票で過半数を獲得して勝負を決めることが肝要と言われてきた。
これに対して岸田前政調会長(岸田派=宏池会)と高市前総務相(無派閥)は、1回目の河野候補による過半数獲得を阻止して決選投票に持ち込み、2位、3位連合による逆転勝利を目指す戦略が有効だ。
そこに割って入る形となった野田氏は、党内における選択的夫婦別姓導入の議論を主導し、同性婚や女系天皇を容認していることから「リベラル」なイメージが強い。したがって野田氏の立候補は、選択的夫婦別姓や同性婚を同じく認めてリベラルなイメージのある(ただし今回の共同記者会見では女系天皇について言及を回避した)河野氏の「票を食う」のではないかという見立てが一般的だ。そうだとした場合、野田氏の立候補によって河野氏の1回目過半数獲得が難しくなり、それは結局の所、岸田文雄氏を有利にするのではないか――。
岸田氏といえば、いち早く立候補を表明した8月26日の会見で「党役員任期を最長3年までにすることで権力の集中と惰性を防ぐ」と明言。二階幹事長交代論に踏み込んで菅首相=二階幹事長体制の瓦解を招くきっかけを作ったことは記憶に新しい。二階幹事長はこの発言に対して、名指しで岸田氏に不快感を表明している。
その二階幹事長が率いる二階派から8名の議員が野田聖子候補の推薦人に名を連ねたことに驚きが走っているのは、こうした背景があるからだ。
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