コラム

日本の「需給ギャップ」がプラスに...なぜこれが重要なのか? もう大規模緩和はやめるべきなのか?

2023年09月27日(水)17時55分

日銀の政策転換が必要な時期は近いうちに来る

需給ギャップはあくまでトレンドを見ることが重要であり、その意味では長くマイナス圏で推移してきた数字がプラス転換したことにはそれなりに意味がある。

日本経済が本格的なインフレ体質にシフトしたのだとすると、需給ギャップは今後もプラス傾向が続く可能性が高い。

インフレというのは多くの人が認識した段階では、既に相当程度、状況が悪化していることがほとんどであり、中央銀行は早めに行動に移すことが求められる。政府も供給制限の元凶の1つとなっている人手不足を解消すべく、デジタル化や企業の経営効率改善など、各種産業政策を強化すべきだろう。

筆者は今すぐに日銀が政策転換を行うことは現実的ではないと考えているが、近い将来、政策転換が必要な時期は必ずやって来る。このところ為替市場では円安が進んでおり、需給ギャップのプラス転換は、今後の物価高を連想させる。場合によっては円がさらに減価し、供給不足との連鎖が始まる可能性も否定できず、時代は変わりつつあるとの認識が必要だ。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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