コラム

日本には独自の不確定要因も...2023年の世界・日本経済、「3つのシナリオ」

2023年01月05日(木)17時51分

アメリカ経済が軟着陸に成功し、景気や株価が相応の水準を維持できた場合、日銀には金利を上げる余地が出てくるかもしれない。短期金利については当面ゼロ金利政策が続く可能性が高いものの、長期金利については指し値オペ(指定した価格で国債を無制限に買い上げる制度)の条件を既に緩和しており、日銀は金利上昇の地ならしを開始している。

だが、アメリカ経済が景気後退に陥った場合、日本経済への影響は必至であり、景気の落ち込みが激しかった場合、金利を上げる選択肢が消滅する可能性も否定できない。インフレはある程度、抑制される道筋が見えてくるとはいえ、日銀の出口戦略はさらに遠のくことになる。

いずれにせよ2023年が薄氷を踏むような経済環境であることに変わりはなく、どのようなシナリオもあり得る。コロナの収束が期待できる一方、経済の不確実性は増していくだろう。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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