東京23区「人口流出」の実態とは? 「一極集中の是正」報道のウソ
現場への出勤が命じられる業務に従事している労働者にとっては、そもそも遠隔地に住むという選択肢自体があり得ない。全面的なテレワークで郊外に移住できたのは、一握りのエリート層だけと考えたほうがよさそうだ。
もう1つの要因は都心部におけるマンション価格の高騰である。近年、全世界的なインフレの影響で資材価格が高騰しており、それに伴ってマンション価格も大幅に上昇している。
不動産経済研究所によると、21年における首都圏新築マンションの平均価格は6260万円、23区に至っては8293万円と空前の水準となっており、もはや庶民では手が出ない価格になった。将来の人口減少を見据え、都心にマイホームを求める世帯が増えていたが、一部は23区を諦め、近隣都市での購入に切り替えた可能性が高い。
東京一極集中の是正は重要なテーマだが、人口減少社会では過疎地域が増え、商圏維持の難易度が上がるので、どうしても都市部に人が集まってしまう。国民の行動は規制できないので、この現実を見据えた上で、地域政策を立案する必要があるだろう。
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