コラム

目先の利権を優先してきたインフラはもう限界...日本人が知らない大問題

2021年06月23日(水)18時41分

水道は基本的に人口に応じた整備しか行われないのでまだいいほうだが、道路や橋などはいくらでも建設することができる。日本では高度成長期にインフラを整備した際、設備の更新を考慮に入れず、新規建設の拡大を最優先してきたが、そうなってしまった最大の理由は、新規建設のほうが圧倒的に政治利権として魅力的だったからである。

水道に限らず、日本の公共インフラは皆、似たような状況にあり、今後、維持が困難になる地域が続出する。人口減少も設備の劣化も以前から分かっていたことであり、これは目先の利益を優先してきたツケと言わざるを得ない。

状況を打開するには、地域集約化を進め、インフラ運営を合理化していく以外にないだろう。水道事業については維持が難しくなっていることから大規模な民営化の議論もささやかれているが、水道は命に関わるインフラであり、安易な民営化はリスクが大きい。自治体の問題とはいえ、政府主導で現実的な解決策を提示していく必要がある。

20240618issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年6月18日号(6月11日発売)は「姿なき侵略者 中国」特集。ニューヨークの中心やカリブ海のリゾート地で影響力工作を拡大する中国の「ステルス侵略」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EU、中国製EVに最大38.1%の追加関税発動へ 

ビジネス

英GDP、4月はゼロ成長 選挙控えた政権に逆風

ワールド

石油需要は2029年までにピーク、大幅な供給過剰に

ワールド

ロシア、戦術核兵器訓練を拡大 イスカンデルミサイル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬で決着 「圧倒的勝者」はどっち?

  • 4

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が妊娠発表後、初めて公の場…

  • 5

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 6

    長距離ドローンがロシア奥深くに「退避」していたSU-…

  • 7

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 8

    たった1日10分の筋トレが人生を変える...大人になっ…

  • 9

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 10

    【衛星画像】北朝鮮が非武装地帯沿いの森林を切り開…

  • 1

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が34歳の誕生日を愛娘と祝う...公式写真が話題に

  • 2

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 3

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車が、平原進むロシアの装甲車2台を「爆破」する決定的瞬間

  • 4

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 5

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 6

    カラスは「数を声に出して数えられる」ことが明らか…

  • 7

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 8

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 9

    アメリカで話題、意識高い系へのカウンター「贅沢品…

  • 10

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 10

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story