コラム

「中国を恐れない」韓国・尹政権の胸算用

2022年06月09日(木)15時34分

だからこそ、尹は世論を気にせずにバイデンと並んで中国を強く非難できる。事実上の経済制裁に懲りた韓国企業は中国への投資を減らし、リスクを他国へと分散させる動きを見せている。そう、それはかつて、大規模な反日デモに遭遇した日本企業がたどったのと同じ道だ。

そして今、上海をはじめとする新型コロナをめぐる中国国内の混乱は、韓国をして「中国に期待した時代」をさらに遠いものにさせている。中国が孤立を深めるロシアと連携した結果、韓国がこれに接近することはますます困難になった。

他方、世界が苦しんだ新型コロナ禍での経済的健闘に韓国は自らの国力への自信を深めている。自らがアメリカと共に「グローバルリーダー」である旨を明記した米韓共同声明には、韓国の雰囲気が如実に表れている。

政治、経済、社会の全ての面で韓国の「中国離れ」が進みそうだ。

プロフィール

木村幹

1966年大阪府生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。また、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。最新刊に『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』。他に『歴史認識はどう語られてきたか』、『平成時代の日韓関係』(共著)、『日韓歴史認識問題とは何か』(読売・吉野作造賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(アジア・太平洋賞)、『高宗・閔妃』など。


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