コラム

イギリスの香港市民受け入れはブレグジット効果

2020年07月18日(土)14時10分

最後に、これは日本で報道されるかどうかも疑わしいが、ロックダウン中の壮大なるグッドニュースが1つある。イギリスで700人以上の組織犯罪関係者が逮捕されたのだ。これは、フランス捜査当局が犯罪組織の暗号メッセージをハッキングして追った素晴らしい努力が実ったものであり、さらにそれを利用してイギリス警察がターゲットを特定し、行動を監視して証拠を積み上げることに成功したからでもある(その過程で犯罪組織と癒着していた警察官2人も特定された)。

これは、以前なら「しっぽをつかめなかった」重要人物をも含む、イギリス各地での一斉逮捕につながり、大量の武器やドラッグ、不正資金の押収という成果も生んだ。フランスとオランダ、イギリスや他の欧州諸国の警察当局が協力して、国境を越えた犯罪組織に強烈な一撃を与えることができたのだ。こうした協力体制はEUの誕生以前にも存在したし、イギリスのEU離脱後も存在し続ける。

EU残留支持派は、ブレグジット後のイギリスは外国人嫌いの存在と化し、世界と関わらず、隔絶されて安全性が低くなるだろうと主張していた。今のところ、そんな理論がもっともらしく聞こえるだろうか?

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プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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