コラム

教皇イラク訪問を誤読する朝日新聞の怠慢と不見識

2021年03月25日(木)16時40分

イラクにはかつて大きなユダヤ人コミュニティーも存在していたが、現在バグダッドに暮らすユダヤ人は10人に満たない。キリスト教徒は、自分たちもいずれ彼らと同じ運命をたどり「絶滅」するのではと危機感を強めている。

イラクのキリスト教徒たちは「私たちを癒やしてほしい」と教皇訪問を望み、教皇自身がそれに「私は懺悔(ざんげ)する巡礼者として参りましょう」と応じた。バチカンの報道官はこの旅を「愛の行為」と呼んだ。キリスト教において愛は、危険や自己犠牲なしには成立しない。歴史的な教皇のイラク訪問から読み解くべきは、こうした人々の祈りや希望であるはずだ。

朝日新聞記者は一体何を見て、人々のどのような声を聞いたのか。この記事の不見識からは、予定稿をそのまま出したかのような怠慢と、人々に対する無関心がうかがわれる。

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プロフィール

飯山 陽

(いいやま・あかり)イスラム思想研究者。麗澤大学客員教授。東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学。博士(東京大学)。主著に『イスラム教の論理』(新潮新書)、『中東問題再考』(扶桑社BOOKS新書)。

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