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アングル:早期解散の思惑、臨時国会召集日・補正提出時期巡り

2023年09月29日(金)17時36分

 9月29日、臨時国会の召集日を10月20日とすることで、永田町では衆院解散への思惑が強まっている。写真は国会議事堂。2021年5月撮影(2023年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Yoshifumi Takemoto

[東京 29日 ロイター] - 臨時国会の召集日を10月20日とすることで、永田町では衆院解散への思惑が強まっている。首相が補正予算の提出時期を明言してないことも、補正予算審議に入る前に解散するのでは、との観測を生んでいる。一方、与党内には早期の解散に慎重な意見もあり、6月にもできなかった解散を、今はできないとの声も出ている。

岸田文雄首相は29日の自公党首会談で、臨時国会を10月20日に開きたいと公明党の山口那津男代表に伝えた。当初16日にも召集との見方があったが、20日にずれ込んだことで、臨時国会冒頭解散の可能性が想像されるという。

それには経済対策の裏付けとなる補正予算の審議が絡んでいる。早期に補正予算を成立させるなら、速やかに臨時国会を召集することになるが、遅らせたことで審議に入る前に解散し、選挙のあとに補正予算の審議に入るというスケジュールが想定できるためだ。

実際、補正予算の提出時期について岸田首相は明言を避けている。

さらに、10月22日には衆院長崎4区、参院徳島・高知選挙区の補欠選挙が予定されている。いずれも事実上の与野党一騎打ちとなる見通しで、参院の補選は、野党候補が自民支持層からも支持されるなど、「短期間で運動量を圧倒的に増やしていかなければならない」(茂木敏充幹事長)と自民党は強い危機感を抱いている。与党内では「補選で一つでも落とせば衆院解散はできなくなるので、その前に解散する可能性がある」(自民幹部)との声が出ている。

このほか、来年9月の自民党総裁選で首相が再選を目指すなら勝てる時期に解散すべき、との見方や、防衛・少子化などの財源の判断を年末に迫られるため、政権基盤強化のため年内解散に踏み切るなどの見方がある。来年は世界経済のさらなる下振れで国内景気も悪化する公算が大きいとの理由も聞かれる。

経済対策に関して首相が「減税」に言及したことも思惑を呼んでいる。

もっとも、こうした思惑はいずれも積極的にというよりは、マイナスを避けるための早期解散論でもある。自民党内の調査では、次期衆院選は議席が減ると予測される。来年9月の総裁任期まで全うすれば在職3年となり「十分長期政権であるため、岸田首相は容易に解散に踏み切らない」(安倍政権幹部)との見方も根強い。

首相は6月にも衆院の早期解散は検討していないと明言し、事実上解散カードの行使を断念した経緯がある。政府内でも「6月解散に向けてあらゆる政策の弾込めを行ってきた」(経済官庁幹部)と一部で驚きをもって迎えられた。今よりも内閣支持率の高かった「6月に解散できなかった首相が今秋解散できるとは思えない」(別の政府関係者)との声もある。

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