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ブラジル大統領主催の南米首脳会議、ベネズエラ巡り足並みに乱れ

ブラジルのルラ大統領(写真中央)は30日に首都ブラジリアで開催した南米11カ国の首脳会議で、地域の発展に向けて南米諸国を分断化しているイデオロギー上の対立を克服するよう呼びかけた。同日、ブラジリアで撮影(2023年 ロイター/Ueslei Marcelino)
[ブラジリア 30日 ロイター] - ブラジルのルラ大統領は30日に首都ブラジリアで開催した南米首脳会議で、地域の発展に向けて南米諸国を分断化しているイデオロギー上の対立を克服するよう呼びかけた。ただ反米左翼のマドゥロ大統領が政権を握るベネズエラを巡り、首脳間で意見の違いが浮き彫りになった。
ルラ氏は首脳会議に先立ち、マドゥロ大統領と会談。その後の会見で、ベネズエラに対しては「非常に大きな」偏見が存在し、反民主的で強権的なベネズエラというイメージは、同国に制裁を科して人道上の危機を悪化させている西側諸国が宣伝している「物語」に過ぎないと切り捨てた。
しかしウルグアイのラカジェポー大統領はこれに真っ向から反論し、「ベネズエラで起きた事態を物語だと言うのには驚いた。既にベネズエラとその政府についてのわれわれの考えは知れ渡っている」と指摘。世界の大半がベネズエラで民主主義が充実し、人権が確保され、政治犯がなくなるよう働きかけようとしており、せっかくの明るい兆しを遮るのは最悪だと主張した。
チリのボリッチ大統領も記者団に、ベネズエラの人権侵害問題を「物語」とする見解には同意しないと述べた。
共同声明によると、各国は民主主義や人権、持続可能な開発、社会的正義にコミットしているとしながらも、多様性と内政不干渉の原則を尊重することに合意した。
マドゥロ氏はラカジェポー氏の発言について、歴史が最終的な判断を下すとし、南米諸国の結束は多極化した新たな世界に基づくものであるべきだと指摘した。
ルラ氏は、開発資金の調達で国営銀行の協力を促し、南米地域は貿易における「域外通貨」への依存を減らすべきだと主張。地域エネルギー市場の創設や気候変動に対処するための連携を訴えた。
さらに、ここ数年南米諸国の結束は保守的な政権により揺らいだと指摘し、極右のボルソナロ前政権によりブラジルは世界や近隣諸国から孤立したと述べた。