ニュース速報

ビジネス

インフレ長引く可能性、コロナで下振れリスク=FRB議長

2021年11月30日(火)07時54分

 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は11月29日、需給バランスの改善に伴い高インフレは来年にかけて落ち着くと引き続き予想しているが、当初予想よりも長期にわたり物価が上昇を続ける可能性があるとの見方を示した。2017年11月、ワシントンで撮影(2021年 ロイター/Joshua Roberts)

[29日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は29日、需給バランスの改善に伴い高インフレは来年にかけて後退すると引き続き予想しているが、新型コロナウイルスの新変異株出現などにより先行き不透明感が増し、当初予想よりも長期にわたり物価が上昇を続ける可能性があるとの見方を示した。

上院銀行委員会の証言原稿で明らかになった。

パウエル氏は「供給制約の持続性と影響を予測することは難しいが、インフレ率を押し上げる要因は来年も続くようだ」と述べた。

経済は今後も強さを増し、労働市場は改善し、賃金を押し上げると指摘した。

ただ、最近の新型コロナの感染者増加と新変異株「オミクロン」の出現が「雇用と経済活動への下振れリスクとなり、インフレを巡る不透明感が増した」と指摘。健康に関する懸念が人々の仕事への意欲を低下させ、それに伴い労働市場の進展が遅れ、サプライチェーン(供給網)混乱が増す可能性があると指摘した。

FRBは今月、量的緩和の縮小(テーパリング)開始を決定し、2022年6月に完了する道筋を示した。

ただ、インフレ率がFRB目標の2%を大きく上回っていることから、早期利上げに道を開くため、テーパリングのペース加速に前向きなFRB当局者の発言が増えている。

パウエル氏は、テーパリングの今後のスケジュールには言及しなかったが、FRBが利上げ検討前の条件の1つとする完全雇用に達する前に、労働市場にはカバーすべきことがあるとの認識を示した。

FRBは「物価安定目標にコミットしている」と表明し、経済と労働市場を支えるために、またインフレ率が高止まりすることを防ぐために手段を活用すると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

男が焼身自殺か、トランプ氏公判のNY裁判所前

ワールド

IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解

ワールド

イスラエルがイランに攻撃か、規模限定的 イランは報

ビジネス

米中堅銀、年内の業績振るわず 利払い増が圧迫=アナ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中