コラム

「母国に帰りたい」と思うような医療現場

2021年07月02日(金)18時55分
病院、痛みを訴える男

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<ワクチン接種が世界各地で進んでいる。でも「1日に2回接種してしまった」などのミスも起こる。なにせ病院はジョークの宝庫だ>

【重病】
患者が医者に言った。

「体のどこを押しても激しい痛みが走るんです。重病ではないでしょうか?」

診療を終えた医者が、ため息とともに言った。

「分かりましたよ」

患者が心配そうに聞いた。

「何という病気でしょうか?」

医者が答えた。

「指の骨折です」

◇ ◇ ◇

新型コロナウイルスのワクチン接種が、世界各地で進んでいる。

スタートで後れを取った日本も、ここにきて順調にペースを加速。関係者の方々の知恵と努力には、改めて頭が下がる。日本の「現場力」は捨てたものじゃない。

ただし、中にはワクチンを誤って破棄してしまったり、薄めずに原液のまま接種してしまったといった事例も発生している。「1日に2回、接種してしまった」というミスも起きている。

世界のジョークの中には、病院を舞台としたものが意外と多い。その大半が医療現場での「うっかり」や「勘違い」を笑いの対象とするものである。

誰もがお世話になったことのある病院という身近な空間は、「ジョークの舞台」としてなじみやすい。

以前、ルーマニアに住んでいた頃、何度か病院のお世話になった。

ある時、高熱が出た際に点滴をすることになったが、看護婦の手際が驚くほど悪く、仲間と談笑しながらウロウロウロウロしている。ようやく点滴が始まると看護婦は、

「1時間で終わるから」

と言ってその場を去ったが、滴の落ち方が異様に遅い。途中からほとんど落ちなくなり、仕方なく看護婦を呼ぶと、

「器具の調子が悪いようね。点滴はやめましょう」

と中止になった。

「日本に帰りたい」と思った瞬間である。

チャウシェスク独裁政権時代に建てられた大型病院は設備の老朽化が激しく、衛生面でも不安を感じるような雰囲気だった。

「病院なんか行ったら余計に悪くなる。殺されちまうよ」と笑うルーマニア人も珍しくなかった。

プロフィール
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米大統領選資金集め、4月はトランプ氏が初めてバイデ

ビジネス

英GSK「ザンタック」、発がんリスク40年隠ぺいと

ビジネス

アストラゼネカ、シンガポールに15億ドルで抗がん剤

ビジネス

BMW、禁止対象中国業者の部品搭載した8000台を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 4

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 7

    ベトナム「植民地解放」70年を鮮やかな民族衣装で祝…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    服着てる? ブルックス・ネイダーの「ほぼ丸見え」ネ…

  • 10

    「親ロシア派」フィツォ首相の銃撃犯は「親ロシア派…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 7

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 8

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気…

  • 9

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 10

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story