コラム

小室圭氏は実直ないい青年だと思う理由

2021年10月19日(火)16時26分
眞子内親王の婚約会見

相思相愛であること以上に、2人の婚姻を阻む要素は存在しない(2017年9月3日、婚約会見) Shizuo Kambayashi-REUTERS

<彼は眞子内親王をたぶらかしたナンパ師であるとネット民は糾弾するが、私の見たところ小室氏には本物のナンパ師特有の「目立ちたくない」ステルス性が欠如している>

眞子内親王が帰国した小室圭さんに数年ぶりに再会し、無事結婚と相なるという。本当に目出度いことであり、一国民として眞子内親王と小室さんの結婚生活の前途を祝福するものである。

私は基本的に、人様の恋路というものに対して如何なる論評をも有しない。相思相愛で結婚するのであればこれ以上目出度いことはない。そこにあれやこれやと論評を加える方が野暮というものである。だから小室圭さんとその実母の「問題」は当然周知していたが、概ねこれまで沈黙を保ってきた。一私人の母親に関する金銭問題について、ことさら論評するべきではない、という考えがあったからである。しかしこの忍耐もようよう限界となった。

結婚反対のデモまで

眞子内親王と小室圭さんへの誹謗中傷があまりにも激しすぎて、かつそれが異常なレベルで展開され、もはや吐き気を催す領域に達したのである。宮内庁発表によると、眞子内親王はこういった「外野」からの罵詈雑言が原因で、PTSD症の一種を発症しておられるとのことで、本当に憐憫の情がわく。小室圭さんの帰国に際して、都内では「結婚反対」のデモもなされた。正直言って異様だと思う。

眞子内親王と小室さんの結婚に強硬に反対する多くの人々は、所謂「保守派」と呼ばれるネットユーザーである。彼ら曰く、「眞子内親王と小室さんの結婚は、皇室の権威を汚すものだ」が6割、残り4割が「小室圭(彼らはKKと呼ぶ)は皇室を利用して借金を返済しようとしている。その原資は税金である」という風に分配できる。

しかし、ともに笑止である。"皇室の権威"以前に、眞子内親王は小室さんと結婚することで一般人になられる。皇室から離脱する一般人の権威・品格を追い求めて何になるというのか。また「皇室利用の借金返済」は、実際に眞子内親王が一時金の受領を拒否されたことからも明らかなように、小室一家の借金返済に血税は転用されない。小室圭さんの母親がどういう経済状況か知らないが、小室圭さんと母親は別人格であり、よって借金問題も別問題である。血税転用の批判なきよう、眞子内親王は周到に一時金拒否の判断をなされたものと思われる。

しかし皇室のゴシップに執心する一部のネット保守は、やおら小室圭さん一家への攻撃を緩めなかった。とうとう、小室圭さんの母親の公金不正受給疑惑に対し、保守系ジャーナリストが刑事告発(東京地検)に及ぶ展開となった。

プロフィール

古谷経衡

(ふるや・つねひら)作家、評論家、愛猫家、ラブホテル評論家。1982年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。2014年よりNPO法人江東映像文化振興事業団理事長。2017年から社)日本ペンクラブ正会員。著書に『日本を蝕む極論の正体』『意識高い系の研究』『左翼も右翼もウソばかり』『女政治家の通信簿』『若者は本当に右傾化しているのか』『日本型リア充の研究』など。長編小説に『愛国商売』、新著に『敗軍の名将』

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