コラム

サルコジ、「上げ底」でオバマに対抗?

2009年06月11日(木)01時12分

passport090609.jpg

Larry Downing-Reuter


 ノルマンディー上陸作戦65周年の式典があった6日、訪仏中のバラク・オバマ米大統領と並んで立つことになったフランスのニコラ・サルコジ大統領は予想通りの演出に身を委ねることになった。オーダーメイドの上げ底靴を履いた上、台の上に乗ったのだ。もちろん、身長を高く見せるため。

 ドア枠によく頭をぶつける私が言っても説得力に欠けるかもしれないが、フランスをはじめ世界の国々はいつか、身長のことでサルコジをかまうのを止められる日がくるのだろうか。たぶん否、だ。英タイムズ紙のパリ特派員、チャールズ・ブレムナーは、サルコジは身長が自分のイメージに与える影響を常に気遣ってきたと書いている。


 トップの地位を手に入れるため誰より必死で戦ってきたという自負があるサルコジにとって、身長は負けん気の強いアウトサイダーという自己イメージの一部だ。07年の大統領選では、誇らしげに「混血の小さなフランス人」と自称していた。ここでの「小さい」には「普通」という意味もあるが、やはり身長のことを想起させる。

 サルコジは、ベルナール・クシュネル外相やエコロジー・持続的開発相のジャンルイ・ボルローなど背の低い側近を好む。仇敵のジャック・シラク前大統領やドミニク・ドビルパン前首相はいずれも、背が高く貴族的な体つきだ。

 女性に関しては背が高い人を選ぶ。前妻も含め3人の妻は皆、サルコジより背が高い。今の夫人で元スーパーモデルのカルラ・ブルーニは、夫より13センチも身長が高いのをごまかすため、ヒールのないバレリーナシューズを履き猫背になって歩いている。


 それに、身長で騒がれる宿命を背負う有名人はサルコジだけではない。トム・クルーズメル・ギブソン、そしてプリンス、さあ君らの出番だ。

──ジェームズ・ダウニー


Reprinted with permission from FP Passport, 11/6/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story