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新型コロナウイルス

新型コロナウイルスが飛び火したスイス マスク姿なくても店頭は品切れ 

2020年02月28日(金)19時00分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

テシン州の医師たちは、国境閉鎖希望

スイスでも新型コロナウイルス感染者が確認されたことを受け、現時点では、政府は、イタリア北部でのようなイベントの中止、休校、レストランの閉鎖といった特別な措置を取っていない。イタリア訪問も禁じていない。ただし州レベル・企業レベルでは措置を取っている。

一方、テシン州の医師は、警戒心や憤りを率直に表している。同州の医師会長フランコ・デンティ医師は「イタリアでの感染拡大の速さ、また同国での措置を見ると、連邦保険局は危険性を過小評価している。数日間、国境閉鎖をすることで、テシン州での感染拡大を防ぐことになる」と話す。

マスクをする人は皆無

1月末の時点で、スイスでは約50人に感染の疑いがあり、検査の結果、全員が陰性だった。連邦保険局によると、28日朝の時点で、これまでに500人以上が感染の疑いがあった。

連邦保険局は感染予防として、この2つを呼びかけている。
①手洗いをしっかりする 
②せきやくしゃみをするときは肘を曲げて腕の中でするか、ティッシュにして、そのティッシュはすぐに捨てる 

せきやくしゃみの仕方(連邦保険局の公式ビデオ)

マスクや消毒液は、売り切れになる店が相次いでいる。しかし、スイス(ヨーロッパ)ではマスクをする習慣がないため、町行く人たちで(電車内でも)マスク姿の人たちは、まったくといっていいほど見かけない。

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2020年2月24日、チューリヒ州のある薬局では「目下、マスク売り切れ。注文することはできません」と張り紙が出された。同店では消毒液も売り切れ。店長によると「マスクも消毒液も、再び入荷予定にはなっています」とのこと

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s-iwasawa01.jpg[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」理事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com


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